研究課題/領域番号 |
23530299
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
藤井 秀昭 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (00550592)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 二酸化炭素排出削減 / 経済学 / エネルギー効率化 / 省エネルギー / 再生可能エネルギー / エネルギー全般 |
研究概要 |
平成23年度は,本研究課題に対する先行研究と調査の包括的展望に注力しました。各種の経済的手法の利用が低炭素化技術開発の促進・普及誘因に与える大きさが技術種類別に異なるとの仮説を検証するため,全体の分析枠組みを規定しました。1.生産関数における生産技術の取扱い,とりわけ規模に関する収穫や生産要素間の代替弾力性,及び生産技術開発が実現されることによる産業連関的波及に関する先行研究文献を調査しました。2.日本の低炭素化技術を選定し,分野別,技術開発項目別,技術特性別への分類作業を行った。「生産関数における生産技術の位置づけ」(規模に関する収穫や生産要素間の代替弾力性における仮定の再検討)と「産業連関的波及」(当該生産技術が実現されることによる産業連関的波及効果の特性)の観点から技術特性の類型化を行った。一般応用均衡モデル(CGE)や産業連関分析モデル等における生産関数内の生産技術の取り扱われ方や生産技術別の産業連関的波及のn次波及に関する先行研究を調べました。3.上記2.の作業で類型化された低炭素化技術開発情報をもとに,各種経済的手法(環境規制(環境基準等),税(排出課徴金)・補助金,譲渡可能排出許可証(排出量取引))及びそれらの組み合わせ(ポリシーミックス)が適用された場合の,日本企業(生産者)の標準的な費用と便益(総費用と総便益,限界費用と限界便益)に関する情報の収集に注力しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種の経済的手法の利用が低炭素化技術開発の促進・普及誘因に与える大きさが技術種類別に異なるとの仮説を検証するため,全体の分析枠組みを規定するのに,先行研究の文献調査に相当な時間を費やしました。これにより,当初計画に比べて,「やや遅れている」と認識しています。日本の低炭素化技術を選定し,分野別,技術開発項目別,技術特性別への分類作業を踏まえて,幅広くヒアリング等を今年度において進めてまいりたいと思います。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は,東日本大震災の影響等により交付金額減額の可能性などが通知されていた経緯もあり,文献調査に専念してヒアリング等を延期したために,旅費と人件費・謝金,及び物品費の一部を次年度に繰り越しさせていただきたく存じます。 そこで、各種の経済的手法利用が低炭素化技術開発の促進・普及誘因に与える大きさが技術種類別に異なるとの仮説を検証するための全体の分析枠組みの再検討及び改訂を行います。次に,日本の低炭素化技術を選定し,分野別,技術開発項目別,技術特性別への分類作業を再実施し,幅広くヒアリング等を進め,データ収集を進めます。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種の経済的手法利用が低炭素化技術開発の促進・普及誘因に与える大きさが技術種類別に異なるとの仮説についての分析枠組みに基づき,各種技術に関する文献調査費,ヒアリング実施に伴う旅費・謝金等,データ収集・分析に関する作業補助の人件費を計画しています。また,4月には米国コロラド大学で開催される国際会議(エネルギー会議)に出席し,エネルギー関連の情報を収集します。その他,秋以降においても,オックスフォード大学や国際エネルギー機関(IEA)等の海外の大学・研究機関へのヒアリングを予定しています。
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