研究課題/領域番号 |
23530300
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
鄭 小平 立命館大学, 経済学部, 教授 (50251012)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地域間情報通信 / 地域内情報通信 / 内生的経済成長 / 都市地域経済 |
研究概要 |
今年度では、まず日本の都道府県を対象に、地域間及び地域内における情報通信のデータを収集・整理するとともに、地域間(内)の情報通信構造を分析した。情報通信のデータは主に電気通信事業者協会、総務省及び旧郵政省などから集計された都道府県レベルのものである。一部はCD-ROMになっているものがあれば、一部は刊行された白書やデータブックに載っている。こうしたデータの変換や手入力を行い、膨大な情報通信に関するデータベースを整備した。また、これらのデータを計量経済学専用のソフトEViewsで分析し、地域間及び地域内における情報通信の構造を明らかにした。それは、東京、大阪、名古屋といった巨大都市を中心とした重層的な情報通信構造である。このような地域構造は、地域の内生的な経済成長に大きな影響を与えていると考えられる。 次に、今後の研究展開を見据えて、地域経済の仕組み及び地域経済成長のメカニズムについても様々な検討を試みた。例えば、地域経済の仕組みについては、近年注目されている空間経済学の考え方を応用して、非対称的な交通費用及び農村人口規模と産業の地域集積との関係を理論的に分析した。また、地域経済の成長や変化に関連して、バブル崩壊以降の日本の都市地域における地価と住宅価格の変化及びその原因についても実証的な分析を行った。これらの理論的実証的な研究の一部は、学会や専門雑誌にて発表している。その成果は、来年度の研究展開の上で、重要なヒントを示唆してくれるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域レベルの情報通信に関するデータベースを整備することができた。また、地域間や地域内における情報通信の構造に関する分析がほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の中核内容に該当し、主に今年度の研究成果を踏まえて、地域間及び地域内の情報通信がどのように地域経済の成長に貢献しているかに関する計量経済学的な実証分析を行う。ここで特に明らかにしたいのは、情報通信のデータで表わされる知識のスピルオーバーが果たして地域の内生的経済成長に影響しているかどうかとのことである。詳細は次の通り。 ・都道府県レベルの地域経済成長に関するデータを収集・整理する。・情報通信と地域経済成長に関する計量経済学的な実証分析を行う。・研究結果を英語の論文にとりまとめて、日本国内外の学会や学術雑誌にて発表し、他の研究者からの意見を参考に研究を改善していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費が約50万円である。それは主に今年度における物品費と人件費・謝金の節約によるもの。次年度の研究を展開するにつれて、より多くの研究補助作業が発生すると見込まれる。次年度に交付される研究費と併せて有効に使用していきたいと考えている。より具体的な研究費の使用計画は、次の通りである。 物品費について、約50万円で、主に地域経済成長に関する資料やデータの購入、カラーレーザープリンターとデータ処理ソフトの購入に使用する予定。 旅費について、約40万円で、主に海外や日本国内における学会参加と研究発表に使用する予定。 人件費・謝金について、約50万円で、主にデータ入力や資料整理などの研究補助に使用する予定。 その他の費用について、約20万円で、主に英語論文の校正、印刷費、投稿費などに使用する予定。
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