研究課題/領域番号 |
23530303
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
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研究分担者 |
林原 正之 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (00104901)
岡村 誠 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (30177084)
野村 良一 東海大学, 政治経済学部, 講師 (60465599)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 貿易政策 / 長期均衡 / タイミング / 内生的決定 / 関税 / 補助金 / 相殺関税 / 参入 |
研究概要 |
複数の政策手段の手番として複数の基本モデルを提示するという目標に即し二つのモデルの計算を行った。1.自国市場に自国企業と両外国企業が操業している「3国モデル」において、自国企業数が内生的に決定する場合は、両外国政府の政策行使のタイミングに依存せず、必ず正の補助金率を提示するということを示した。これは、従来の自国企業数が所与の場合は、両外国企業数の大小関係に依存してタイミングが内生的に決定し、その場合の補助金率を負に設定する場合が生じるというものと異なっている。それを下記の論文にまとめた。(1)Hayashibara, Nomura, Ohkawa, and Okamura (2011) "Government Intervention Would Bring About the Free-trade Outcomes in the Long-run" mimeo.2.Hayashibara (2002, OER)のモデル自国市場に自国企業と外国企業の複占となっている2国モデルにおいて、外国企業に対して外国政府は補助金を自国政府は関税を課す場合、外国企業の費用構造の違いが両政府の政策行使のタイミングにどのような影響を与えるのかを考察した。そして件の費用構造が規模に関して収穫逓増ならば、外国政府が先手で正の補助金を給付、自国政府が後手で正の関税を課すという「相殺関税」のケースが内生的に成立することを示した。この結果は、相殺関税は生じないとする従来の研究結果とは異なっている。それを以下の論文にまとめた。(2)Hayashibara (2012) "An extension of endogenous determination of policy timing: a case of variable marginal cost of production," mimeo.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目の研究成果として、少なくとも二つの予備モデルを構築・計算した結果、それらのどちらもが論文作成に値するモデルであることが判明した。そして、少なくともmimeoのレベルではあるが、論文という体裁にまとめられた。ただし、論文のイントロ部分でのブラッシュアップに時間がかかり、ディスカッションペーパーにするところまでは持っていけなかった。この意味で、(2)の状況に相当すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で先述の(1)の論文のついては、導出結果の重要な部分が、Etro (2011) "ENDOGENOUS MARKET STRUCTURES AND STRATEGIC TRADE POLICY," International Economic Review 52(1) 63-84に記載されていたことを受けて、論文(1)の修正を余儀なくされることが判明した。したがって、(2)の論文から着手し今年度上半期までに投稿する。その後、論文(1)の修正と同時並行して、先述の特許や品質保証などの政策と貿易政策を絡めたモデルの構築に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に研究分担者との打ち合わせを3回行う予定である。また、学会発表等も行っていく予定である。研究費は、打ち合わせや学会参加のための旅費・学会参加費・投稿論文の英文校閲等に使用する他、最新の研究関連図書の購入や謝金(数値計算)に当てる。
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