研究課題/領域番号 |
23530304
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
松島 泰勝 龍谷大学, 経済学部, 教授 (20349335)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 沖縄の開発と内発的発展 |
研究概要 |
本研究関連の書籍、報告書、統計書を沖縄県立図書館、各自治体、政府機関等で入手し、分析・検討をした。また本研究に関連する機関、沖縄県、内閣府沖縄担当部局、沖縄総合事務局等の担当者に対してインタビューを行った。 さらに沖縄のNGO,NPO,大学研究者等から本研究関連の事項についてインタビュー調査を行なった。 2011年4月から2012年3月末まで発行された、沖縄の地元紙『琉球新報』『沖縄タイムス』両紙において本研究関連の記事を切り取り、整理した。2011年11月、12月、2012年3月に本研究関連の国内シンポジウム1件、国際シンポジウム2件が開催されたが、それらのシンポにおいてパネラーとして報告するとともに、他のパネラーや会場参加者と意見交換を行った。本研究の成果を報告し、他の参加者との議論により本研究課題に関する新たな知見や研究に関連する情報を得ることができた。 2012年2月、3月に次のような本研究関連書籍を出版した。松島泰勝『琉球独立への道―植民地主義に抗う琉球ナショナリズム』法律文化社、2012年、松島泰勝編著『民際学の展開ー方法論、人権、地域、環境の視座から』晃洋書房、2012年。前者は沖縄の振興開発が抱えている諸問題を明らかにしたうえで、島嶼国・地域の事例を参照しながら、沖縄における内発的発展の可能性を考えたものである。後者の著作には、研究手法において内発的発展論と多くの共通点をもつ民際学と沖縄との関係についての考察と、沖縄とツバルとの民際交流の可能性についての論文が含まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.沖縄県の島々における振興開発政策や計画、振興開発にかかわる特別措置制度、年ごとの経済状況(失業率、所得額、生活保護率、産業構造の変化、企業倒産の推移、企業進出数等)、公的支出金への依存度の推移を統計資料等に基づいて分析し、問題点を明らかにした。 2.主要な開発政策(自由貿易地域、金融特区、情報通信産業特区、大学院大学、各種の特別措置制度等)による経済効果、経済自立への貢献度を聞き取り調査、統計資料等を通じて検討した。 3.振興開発と米軍基地との関係性について沖縄県の基地所在市町村における聞き取り調査や資料収集等については、特に今年度、力を入れて行う予定である。当該年度においては、那覇市、宜野湾市において資料収集等を実施した。 4.振興開発事業の大半を占める公共事業が地域社会に与えた影響、つまり、環境破壊、産業構造の変化、産業全体への波及効果、自治体の財政状況の推移等についても、関係機関におけるヒアリング、資料の収集を実施した。 5.振興開発の策定・実施過程、実施主体間の関係、振興開発過程における地域住民の関与度等を調査することで、当初の開発目標が実現できなかった原因についての研究に必要なヒアリング、資料収集を行なった。内発的発展を実現するための具体的な政策提言に関する、沖縄各地域における内発的発展の実践例についてもヒアリング、資料収集を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
沖縄島、伊江島等にある米軍基地所在市町村において、沖縄北部特別振興対策事業、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会に基づく事業、SACO補助金・交付金による事業、再編交付金による事業、その他、沖縄防衛局関連の事業等に関して現地調査をし、開発の受け入れ態勢、振興開発の効果と問題点、米軍基地所在市町村の財政状況・経済状況等について関係市町村、沖縄防衛局、住民等から聞き取りや、関連資料の分析を行う。 米軍基地所在市町村以外の市町村における主要な振興開発事業について現地調査をし、開発の受け入れ態勢、開発の効果と問題点、財政状況・経済状況について関係機関の担当者、地域住民、等から聞き取りを行なう。 2012年は沖縄に対する施政権が米国政府から日本政府に移管されて40年になる。今年は、40年間の振興開発のあり方、今後の発展の方向性について議論が沖縄県内外で盛んになることが予想される。研究論文、新聞、雑誌、報告書等における議論の内容を丹念に追い、資料を収集し、ヒアリングを行っていきたい。 さらに、他府県企業の沖縄への進出数、事業所の種類、進出場所等に関する詳細な統計、資料を集め、ヒアリングを進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においても沖縄現地における調査に重点がおかれるため、旅費関連の研究費を中心に支出していくことになる。 2012年4月は那覇を中心とする日本企業進出に関する調査を行い、5月には2つのシンポジウムを沖縄国際大学、1つのシンポジウムを徳之島において開催する。そのシンポジウムにおける議論をもとにして研究を進めていく。 また次年度研究内容に関する書籍、統計資料等の購入も行いたい。 研究に関連する方々へのヒアリング調査を行うための会合費等の支出も予想される。
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