沖縄の振興開発と内発的発展を国際的に比較するために、スコットランドにおいてフィールドワークを行った。スコットランドは1999年から地域独自の政府と議会を持ち、独自の経済政策を実施することが可能になった。また地域の内発的発展を進めるために、2014年にはイギリスからの独立を問う住民投票が行われた。このような政治的な動きを実現させた経済的な背景について現地調査を行い、関連資料を収集した。大きな分権が行われたスコットランドと、中央政府から様々な経済的制約を受ける沖縄を開発政策の視点から比較することで、沖縄の振興開発が抱える諸課題が明らかになった。 2014年は振興開発と米軍基地の押しつけ政策との関連が問われる選挙が行われた。名護市市長選挙、沖縄県知事選挙、衆議院議員選挙等である。各選挙において振興開発と辺野古新基地建設受け入れが争点となった。各選挙結果は、振興開発費の増加よりも、新基地建設に反対する民意が態勢を占めることが明らかになった。選挙の戦後において振興開発の意味の問い直しと、あるべき経済発展のあり方が議論された。 このような沖縄の振興開発と内発的発展に関するフィールドワークを名護市において実施した。名護市運営の商店街において、各商店主に対してインタビュー調査を行った。また名護市の内発的発展ともいえる「逆格差論」に基づいた名護市総合計画・基本計画の再評価が行われた背景について調査、考察した。 また沖縄県庁、那覇市役所において、振興開発、基地跡地利用、経済状況の最新動向等に関する資料を収集するとともに、関係者にインタビュー調査を行った。また沖縄県立図書館郷土資料室等において、本研究課題に関する歴史的調査を行った。
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