研究課題/領域番号 |
23530307
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
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研究分担者 |
辻 正次 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90029918)
井戸田 博樹 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (10352957)
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キーワード | イノベーション / イノベーション・システム / 組織学習 / 組織IQ |
研究概要 |
イノベーションの創出に取り組み成果を収めている企業の特徴や、イノベーションを創出するために求められる組織的な要因の解明が本研究テーマの目的である。シュンペーター仮説によると、経営規模の大きな企業は小さな企業に比べイノベーションの創出が有利と考えられる反面、イノベーション創出に不可欠と言われる、企業家精神が欠如していることが少なくない。一方、経営規模の小さな企業では、その逆の現象が見受けられる。そこで、イノベーションの創出を実現するために必要とされる組織的要因とは何か、を組織IQというコンセプトを援用し、組織の強みを複数の視点から定量的に把握するための検討を行ってきた。組織IQは、元来、経営情報という限定された範囲で活用されるものであったことから、企業のトップマネジメントと競争優位性の視点、及びICTの利活用の視点など、組織の強みを多面的に捉えることとにするとともに、それ定量的に把握し、成果との関連性の分析を行った。 主な研究成果は以下の通りである。 (1)イノベーションの創出には、経営戦略はもちろんのこと、経営トップがイノベーション創出に積極的に関与することが重要となる。特に、従業員の保有する能力が積極的に企業経営に生かされるように、従業員のモチベーションが高まる組織風土の醸成や経営システムの構築が重要となる。 (2)消費者の要求に耳を傾け、絶えずより高い品質水準の製品を提供できるようICTを活用するとともに、情報共有を進め組織の構成員がフレキシブルに行動できるような組織の運営がイノベーション創出には必要不可欠である。 (3)企業内部において、製品イノベーションやプロセスイノベーション創出する能力を測定するためのインデックスを作成し、その有効性についての検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「13.研究発表」の欄に記載しているように、イノベーション研究が進展する海外での成果発表を念頭に置き研究に努めた結果、概ね当初の計画通り順調に取り組むことができている。 分担研究者との役割分担も予定通り円滑に行うことが出来ており、今後さらに研究成果の向上に努めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に実施したアンケートでは、647社の企業から回答を得られた。本年度はそのデータを使用した計量分析を中心に研究を進めた。分析では、新規性や学術的貢献度の大きさを狙い、多面的な視点からの検討を行うこととしたため、代表者担当分に関してやや手を広げすぎた感がある。その結果、当初の予定に比べ企業訪問する回数がやや少なくなり、研究費のうち5万円程度の執行残が出てしまったが、特に大きな問題が生じているわけではない。今後は、計量分析の結果を裏付けるべく、企業への訪問調査を逐次実施して行きたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
(次年度の研究費の使用計画) 次年度は、研究成果の普及に引き続き努めるとともに、アンケートによる分析結果を裏付けるための企業ヒアリングの実施も精力的に行いたいと考えている。また、アンケートに回答いただいた企業の中から特徴的な企業を抽出し、従業員のイノベーションへの取り組み意欲とイノベーション成果との関連についての聞き取り調査も実施する予定である。 そのため、次年度の研究費は、上記を実現するための研究成果を発表するための費用や、企業ヒアリング調査のための旅費、追加的調査のための費用に主に充当したい。
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