研究課題/領域番号 |
23530314
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鳥居 昭夫 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (40164066)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 経済政策 / 産業組織論 / 産業論 |
研究概要 |
本申請研究の目的は、産業融合について、理論的および実証的に分析を行うことである。産業融合はこれまで多く論じられてきたが、そのほとんどは現象論として論じたものであり、必ずしも厳密な理論的分析、実証的分析の対象とはされてきたとは言えなかった。ゲーム論に基づいたモデルを用いて、企業・産業レベルの代替財補完財への参入メカニズムを表すモデルを構築し、産業横断的な実証分析と特定産業の詳細な分析によって、その一般的傾向を確認し、望ましい技術政策と規制政策のあり方を論じることが目的である。 初年度では、主に産業融合が発生する基本的メカニズムを説明するモデルを作成した。このモデル作成のため、既存の産業間競合および空間的競争に関する文献を渉猟し、補完財の供給を明示的に扱う、2期間ないしは3期間モデルが分析において有効であることを確認し、基本モデルを作成した。23年度末までにこのモデルの基本的な性質を整理し、モデルの整合性を高めるための諸検討を行った。 さらに公表のための準備を進めている。このモデルは本申請研究の根幹となるものである。 あわせて、モデルから導出される基本的な命題である、産業は一般的に技術的な特性に依らず産業の成長過程において隣接分野に進出する傾向を持つという仮説を実証するためのデータ蓄積の準備が進められた。このデータは主に電力・エネルギー関連事業において収集している。これは他分野に比べてすでにデータが整備されていることが多いからである。さらに次年度以後産業横断的な分析を行うために一般製造業のデータ収集について予備的検討が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度には本申請研究の根幹部分となる基本モデル構築と次年度以後に行われる実証分析のためのデータの整備等が計画されていた。このうち、基本モデル構築については、ほぼ予期した機能を有する基本モデルを構築し、現在そのモデルの機能と動作を様々な観点から検証する段階に入ることができている。また、一定の段階で公表し、他の研究者からの議論およびコメントをえるための準備を進めている。また、データ整備等については多様な資料を収集し、モデルに合わせて必要と考えられるデータベースの形式を考察し、整備の作業が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に一定の段階まで進めた、基本的メカニズムを説明するモデルの完成が目指される。モデル特性の検証と、モデル自体の整合性を高めるのがこの段階での作業目的である。24年度は、主に実証研究にリソースを集中する。モデルの完成のためにも、実証分析からえられる知見が必要だからである。すでにいくつかの基本的な仮説は作られているので、使えるデータから順次これらの仮説の検証作業を試みる予定である。さらに、エネルギー産業および放送産業におけるより詳細なケーススタディを開始する。規制政策の変化と提供されるサービスの進化をまとめ、モデルにおける考察との関連を分析する準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として資料整備における必要な補完を行う。新しい文献の収集、および報告などの収集が必要である。さらに今年度中に、研究内容の部分的な公表を行うために旅費を用いる。現在、XXVII Jornadas de Economia Industrial, 13-14th of September 2012 in Murcia, Spainへの参加を検討している。人件費謝金は資料整備の補助、および論文の英文チェック等に費やされる。
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