従来の非営利組織研究に対して、「社会関係と組織行動との関連」という新たな視点を導入することで、非営利組織研究と経済秩序論をつなぐ分析経路を基礎づけ、社会保障政策や地域政策などの具体的政策分析の議論に接続する体系的な分析枠組みの構築を目指した。研究の結果、関係財概念を非営利組織分析に組み入れることにより、福祉・社会サービス提供の現場における、生産者-消費者の「個別的関係」に対する各主体の動機が、その個別関係内での経済活動に与える影響、およびその環境としての非営利組織という形態の優位性について、一定の論理的説明を与えることができた。
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