• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

開発途上国における工業化と農業生産性の因果性分析

研究課題

研究課題/領域番号 23530318
研究機関神戸大学

研究代表者

川畑 康治  神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (10273806)

研究分担者 陳 光輝  神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00188509)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード産業構造変化 / 農業生産性 / 経済成長 / 労働移動
研究概要

これまで「経済発展に伴う農業部門からの労働流出と農業生産性の関係」に関しては、農業経済学を中心に、従来、多くの研究で「産業間労働移動(農業部門からの労働流出)には、前提条件として農業(労働)生産性上昇が不可欠」という主張がなされてきた。この主張に関しては、その多くが記述統計や理論分析にとどまっており、統計学的分析に基づいた実証分析の蓄積が少ない、という弱点があった。 そこで本研究ではこの命題に対し、東アジア地域を対象として農業(労働)生産性と農業労働シェアに対する因果性分析を行った。その結果、Granger因果性の観点から、概ね「農業労働シェアが農業(労働)生産性に影響を及ぼし、その逆の因果性はない」との結果を得た。これは政策インプリケーションの観点から、「農業生産性向上よりも産業間労働を促進する政策の方が経済発展に寄与する可能性が高い」ことを示唆する結果である。これは従来の主張とは全く異なるインプリケーションを示している。 ただしタイやフィリピンのある一定の期間においては、上記と逆の結果を示している。これは記述統計による分析において、他国と比較して両国の経済パフォーマンスを勘案した場合、「農業の比較優位」による影響の可能性を示唆している。 結果として、東アジア地域の「農業生産性と農業労働シェア」に関する因果関係においては、後者から前者への一方的な(Granger)因果性が見られるものの、当該国における経済環境(資源等の賦存状況やそれに伴う生産財の比較優位、開放度等の貿易政策等)による影響がありうることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の今年度の研究実績に関しては、現在、草稿がほぼ完成段階にあり、近日中に学術誌に投稿予定。 またこれに関連するサーベイ論文も現在並行して進めており、今年度半ばには完成予定である。 関連統計資料の収集に関しては、予定通り進んでいる。

今後の研究の推進方策

上記の研究結果は、「農業生産性と農業労働シェア」に関する因果関係においては、当該国における経済環境による影響を示唆している。 今後はその影響について、要因の特定や影響度について、実証分析とモデル構築の両面から分析を進める。

次年度の研究費の使用計画

前年度に引き続き、関連研究のサーベイならびに関連統計資料取集を進めるため、資料購入やその記録媒体、計算機能としてのPC周辺機器の購入を予定。 また研究成果の発表やディスカッションのため、学会参加や学術誌投稿による経費を予定。 なお「次年度使用額」の計上は、今年度予定執行予算が他の研究費でカバーできたことによる。この「次年度使用額」に関しては、もともとの予算総額(直接経費3年50万円)が少ないため、当初予定の購入・経費を若干上積みすることで対応する予定である。

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi