東アジアと中南米諸国を対象とした分析の結果、概ね「農業労働比の変動は農業労働生産性変動に先行する」との結果を得た。これは農業部門から非農業部門への労働流出は同部門の生産性上昇に影響を及ぼすことを示唆している。またこの結果は、農業労働比が高い状況、あるいは非農業労働生産性の変動を制御した際に、上記の結論が強化されることも明らかとなった。 さらに農業労働比変動の要因分析では、「所得効果」と「相対価格効果」のうち、所得水準が低い段階では「所得効果」の影響が大きく、所得水準の上昇とともに「相対価格効果」による影響が相対的に大きくなることが明らかとなった。
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