研究課題/領域番号 |
23530319
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
陳 光輝 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00188509)
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研究分担者 |
川畑 康治 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (10273806)
橋口 善浩 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター, 研究員 (40432554)
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キーワード | 中国 / 地理情報システム / 集積 / 地域格差 |
研究概要 |
県レベル立地データを用いた産業集積の分析をおもに行った。(1)エリソン・グレイサー指数と同じタイプで必要なデータが少なく,かつ統計的検定が可能な統計量と (2)その統計量と整合的な立地確率モデルにもとづく集積地検出手続き を開発し,2004年,2008年経済センサスの県レベル2848地域,3ケタ分類161産業の製造業法人数のデータを使って (1)各産業,集積は強まったのか,(2)どこに集積していたのか,(3)どのような変化があったのか を分析した。 (1)集積度の大きい産業の集積が一層進行するというような傾向はなかった,(2)集積の進行は全体としては,わずかという程度であった,(3)長江デルタと珠江デルタの主要部,そして北京への集積傾向は弱まっていた,(4)湖北省東部から湖南省北部一帯,江蘇省北部から山東,河南にかけての地域,東北主要部,重慶西部などで集積形成が見られた などの結果が得られた。 エリソン・グレイサー指数などの集計的指標を用いた先行研究によれば,2000年代中頃まで,中国の産業は集積の程度を強めていた。われわれの分析結果によれば,その傾向は鈍化したのであるが,これは2000年代後半から観測される(一人当たりGDPでみた)省レベルの格差縮小と整合的である。この格差縮小は,省レベルデータでは,内陸部の投資主導成長と沿海集積地域の伸び悩みによるものであり,内陸での産業・都市集積の形成は明白でなかったが,県レベルGISデータを用いたこの研究によって,一定程度の産業拡散があったことを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
立地データによる産業集積の分析に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初からの予定である県レベル人口センサス・GDPのデータセットを完成させて,集積と地域格差の分析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費(資料費)が予想以上にかかり,次年度もそうなる可能性が大きいと判断したので,旅費・人件費を節約した。 節約分を物品費(資料費)に使用する。
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