ロシア・中国の安全保障(資源・国防・情報)に関する実証研究に基づいて、安全保障の観点から両国政府の役割を比較し、その体制間分析をもとに、中長期予測を行った。 資源については、「ガスプロムの政治経済学」を上梓し、安全保障の観点を含めて、ロシアの主要な資源産業企業であるガスプロムが中国への天然ガス輸出にどのように取り組もうとしているか、それが極東開発におよぼす影響や液化天然ガス(LNG)輸出の拡大戦略がもたらすアジアへの影響などを論じた。 国防については、「ロシアの最新国防分析」を上梓し、セルジュコフ国防相の解任といった事件の後、ロシアの国防政策が国内産業重視にシフトしていることを明らかにした。中国との武器輸出などを分析し、その関係がロシア依存から脱却しつつあることを明示した。ほかにも、「ロシアと中国の民間航空機産業の比較」、「ロシアと中国の造船業界の比較」を公表し、軍事産業にかかわる両国の現状を分析、エンジンなどの主要部品で、ロシア依存が継続していることを明らかにした。 情報については、「サイバー空間の平和学」を近く上梓する。『国境研究』で、近く「サイバー空間と国家主権」を公表する。このなかで、サイバー空間をめぐる国際法整備において、ロシアや中国が上海協力機構を通じて、協力関係を結び、インターネットなどにかかわる設備に対する国家主権を通じた法的規制の強化に乗り出していることを指摘した。
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