研究課題/領域番号 |
23530324
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
P Ratnayake 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90221697)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 農村貧困 / 日本の技術協力 / ソーシャル・ビジネス / スリランカ / JICA / JOCV / キャパシティビルディング / 持続的な貧困削減 |
研究概要 |
平成23年度、『「ソーシャル・ビジネス」の展開と貧困削減:日本の技術協力に関する研究』を日本・スリランカ・タイで、聞取り・文献調査を実施した。スリランカでは、本研究の現地研究協力者であるスリ・ジャヤワルダナプラ大学と、ペラデニヤ大学農学部の協力のもとで行った。タイでは、カセサート大学経済学部の協力のもとで実施した。また、同課題に関する日本の現地協力機関であるJICAコロンボ事務局の指導を受けながら日本の草の根技術協力現場で聞取り調査を実施した。 尚、調査結果のマクロレベル分析を学術論文として、佐賀大学国際シムポジウム「ソーシャル・ビジネスと貧困軽減~日本の草の根技協力のあり方を考える」(平成2012年1月26日開催)で発表した。また、マクロレベルの分析で明らかにされた調査結果の一部は学術論文として「佐賀大学経済論集」で出版した。 昨年の文献・聞取り調査から明らかになったことは次の通りである。途上国の持続的に貧困削減を成功させるには、貧困層が有する全ての資源、すなわち労働力とわずかな物的資源を市場経済の中で有効活用できる権利と機会を与えることである。そのためには低所得層の労働力が国民経済発展の過程で活用されるようにするためのキャパシティビルディングが非常に重要な鍵となっている。 日本の「技術協力」、特に「草の根技術協力」は、スリランカの低所得者層の能力開発に間接的に貢献していると評価できる。それは今まで同国政府や民間企業、地域社会、NGO等が貧困軽減方法として実施してきている様々な小規模ビジネスのさらなる発展のために積極的に貢献していることが明らとなった。それらに関する聞取り調査から推測できることは、日本の技術協力が、将来のスリランカの農村レベルのソーシャル・ビジネスが実現できる「道」を構築しているだけでなく、持続的な貧困削減に多大な効果をもたらしていることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年同課題について行われたマクロレベルの調査結果を基に、国内外で実態調査(アンケート・聞取り)を実施する計画である。そのことにより、同課題についてさらに理解を深めていきたいと考えている。 国内調査:これまで、アジア諸国、特にスリランカ/タイの低所得者層のキャパシティビルディングのために日本が派遣してきた日本人協力者がどのように協力してきたのかについて、聞取り・国内資料調査を行いながら、日本の対アジア人の能力開発をめぐる政策的かつ実証的分析を行う。 国外調査:(1)日本の技術協力のもとで達成されたキャパシティビルディングによって育成されたスリランカの人々が、その後どのような経済社会活動をしているのか、またその研修は自分自身の生活改善にどの程度で貢献しているのかについてアンケート・聞取り調査を実施する。(2)スリランカのJICA事務局の同援助活動に関して、担当者の意見や経験について聞取り調査を行う。(3)国内外実態調査のデータを分析し、中間報告会を開催する。また、できるだけ研究成果を学術論文として国内外の学会で発表し、学術論文として国内外の雑誌に出版する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究費は主に以下の研究活動のために使用する計画をしている。(1)国内外の実態調査に関する旅費と関連する調査費(2)平成20年~22年までに実施した「人的資源育成に対する日本の協力」調査研究の最終報告書の作成費(3)海外協力者の研究成果が日本で発表するために必要と思われる経費(4)同研究と関連する資料費、謝金、人件費など
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