研究課題/領域番号 |
23530328
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菅 万理 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (80437433)
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研究分担者 |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80389337)
梶谷 真也 明星大学, 経済学部, 准教授 (60510807)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 人的資本 / 時間配分 / 健康資本 / 所得格差 / 教育 / 生活習慣 |
研究概要 |
本研究の目的は、若年層において就業状態や人的資本・所得、健康資本の格差が生じているか、それはいつ何をきっかけに生じたのかを家庭環境、時間配分、教育・訓練制度に注目し検証することである。本研究は、(1) 従業上の地位変化が生活習慣や時間配分に及ぼす効果に関する研究 (2) 個人の時間配分が所得・健康資本に与える影響に関する研究 (3)教育制度と学力の格差に関する研究の3部から構成されている。(1)については、これまでのところ、パネルデータを用いて、失業が個人の健康や生活習慣に与える効果についての分析、母親の就労が思春期の子どもの学校での行動や成績に与える影響についての分析を行った。結果から、個人の異質性をコントロールした場合、失業は、主観的な健康観に影響を与えないが、メンタルヘルス、運動習慣、睡眠時間に影響を与えることが明らかになった。また、父母の学歴や家庭の経済状況を考慮すると母親の就労自体は子どもの行動に悪い影響を与えていないことも明らかになった。(2)については、当該年度は若年層の時間配分に関する先行研究のサーベイを行い、『働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査』の2007年調査と2008年調査を用いて、時間配分の違いによって所得や健康状態にどれぐらいの差がみられるのかを記述統計から確認している。(3)に関しては、2002年の学習指導要領の改正が学力分布に与えた影響を分析するため、先行研究のサーベイを行った。また、国際的に行われているテストであるTrends in International Mathematics and Science (TIMSS)、Program for International Student Assessment (PISA) のデータセットを入手し、データクリーニングを行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの研究代表者・研究分担者は計画に沿ってそれぞれの担当テーマに関する研究を進めており、研究の進捗状況はおおむね順調である。具体的には、菅は従業上の地位変化が生活習慣や時間配分に及ぼす効果に関する研究、梶谷は個人の時間配分が所得・健康資本に与える影響に関する研究、玉田は教育制度と学力の格差に関する研究をそれぞれ進めており、順調に研究成果を挙げている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きそれぞれの研究代表者・研究分担者は当初の計画に沿って担当テーマに関する研究を進めていく。さらに、今年度はデータを共有し、共著の体制をとることで集中して研究分析を進めていく。具体的には、時間配分に関する全国的規模の公的統計である「社会生活基本調査」の平成3・8・13・18年分のマイクロデータが、「匿名データ」として利用可能となっており、これを共通のデータとして、(1) 従業上の地位変化が生活習慣や時間配分に及ぼす効果に関する研究 (2) 個人の時間配分が所得・健康資本に与える影響に関する研究 についての研究を進展させる。研究成果を研究論文としてまとめると同時に学会発表などを積極的に行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度実支出額は、3月31日までに支出された額を記載したものであり、3月31日現在で発注・納品までを完了したものについては次年度4月に支出された。事業2年目に当たる次年度は、研究成果の国内外の学会での積極的な報告、英文論文の校閲謝金、データの取得費などに研究費を充てる予定である。現時点で確定している研究報告は2012年7月スイスで開催されるEuropean Conference on Health Economicsである。
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