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2011 年度 実施状況報告書

介護労働力の供給決定要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530329
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

水野 利英  兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (30181902)

研究分担者 車井 浩子  兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (70275296)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード介護労働 / 介護福祉士 / 離職意向 / 介護サービス施設・事業所調査
研究概要

介護労働安定センターの実施した2008年度の「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の個票データを用いて、介護労働者の離職意向に影響を与える要因を分析した。2008年度調査は、大調査であった2006年度調査と比べるとサンプルはやや少ないが、離職についての質問形式が変わり、勤務先の離職意向と介護の仕事からの離脱意向のそれぞれについて、分析を行うことが可能になった。ここでは、介護の仕事からの離脱意向と、介護の仕事は継続したいが現勤務先は離職したいという意向について、プロビット分析をした。その結果、長い労働時間が双方の離職意向を高める、高い相対賃金は介護の仕事の継続意思を強めるなどの結果を得ている。特に注目する結果は、介護福祉士の資格保有者は、介護の仕事は継続したいが現勤務先のみを離職したいという意向が強いことが明らかになったことである。介護労働者のなかで、介護福祉士の割合は高くなってきていて、この結果は、介護労働市場における流動性が高まることを示唆している。 また、厚生労働省のHPにある「介護サービス施設・事業所調査」により、介護保険発足後10年の従事者数、常勤換算従事者数のマクロ的な動向を整理した。特に、経営主体別のデータについては、2006年度と2007年度のデータについては、HPで入手できないので、統計法33条の目的外利用の手続きにより、厚生労働省から請求したデータを用いている。この結果、常勤換算従事者数が、2010年には147万人に倍増していること、介護福祉士の割合は、訪問介護員が20%以下から35%、介護職員では、30%から42%に増加していることなどが明らかになった。施設を除くと経営主体別では、営利法人の比率が2006年ごろまでに40%に急増している。また、介護福祉士の割合は訪問介護員、介護職員とも低いという結果を得ている。この結果の一部は富山大学で発表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

介護福祉士資格の離職意向に与える効果は、予想されたものだが、そのインプリケーションは、理論面も含め検討する必要がある。統計的方法については、報酬区分が新しいデータでは明らかになったので、以前のデータと比べ階層的な方法の重要性は減じているが、統計的方法については、もう少し工夫したほうがいい。介護労働者のマクロ的動向は、それ自体興味があるが、介護労働についてどんな分析をするにせよ基礎的なデータとして用いることができるという面でも重要である。

今後の研究の推進方策

新たなテーマとしては、介護労働の供給源としての介護系学校の動向について、文科省関係のデータなどを用いて分析を進めたい。また、介護資格が介護労働市場で果たす資格について、近年研究されている資格に関する労働経済学の見地も踏まえながらも、介護労働の特殊性を考慮したうえで検討したい。また、新しいデータが入り次第、介護報酬改訂の効果を計量分析することを考えているが、その基礎として、規制産業の労働市場についても、一般的観点、介護労働の特殊性の双方の観点から理論的な検討をしたい。

次年度の研究費の使用計画

3月31日現在の支出分についての記載であり、発注済み、納品済み分の4月以降の支出になっている。文献などの購入の他、謝金などを用いて、計量分析をさらに進めるため、ノートパソコンと計量経済ソフトを購入する予定である。また、研究成果の研究会での発表、「介護サービス施設・事業所調査」などについての聞き取りも行いたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 介護労働の特性と介護労働者の離職意向2011

    • 著者名/発表者名
      吉田和夫,水野利英,車井浩子
    • 雑誌名

      商大論集

      巻: 63 ページ: 203-225

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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