施設介護の中心を担う正社員の確保には新卒の採用が重要である。本年度は、日本社会福祉教育学校連盟に属する大学の福祉系学科の学科長にアンケートを行い、特に福祉就労との関連を調査した。133学科のうち、回収できたのは20学科であったが、学校基本調査では、わからない最近の進路状況の情報が得られた。福祉系大学生でも、最終的に福祉業界を志望するものは少ないという指摘もあったが、この調査対象で、就職した卒業生の過半数が医療福祉分野、特に30%が老人福祉士施設・介護施設に就職している。福祉系学部の長期的な動向は、研究協力者(吉田和夫)が学校基本調査を整理して「福祉系学部の長期動向と産業への接続の問題 -学校基本調査の分析から-」(介護経営第8巻2013年)に纏めた。このデータによると福祉系大学の最近の入学者は2万人前後で、社会保険・社会福祉・介護事業への就職者は平成20年の1万1000人余りから平成24年1万8000人に増加している。学部別の就職者数のデータはないが、アンケート結果を類推すると以前は、社会保険・社会福祉・介護事業への就職者のかなりの部分をこれらの学科が占めていたと見られる。大学は主に社会福祉士を供給するので相談員や支援員の希望が多いが求人は介護職員が多いというミスマッチがあることは予想されていたが、実際の回答で裏付けられた。 また、非正社員などの確保では、無業女性の就業が一つの課題となる。本年度は無業女性の中でも専業主婦についてのアンケート結果から、就業を意識したとき仕事と家庭の両立の不安を感じていること、就業には金銭的不安が関わっていることなどを明らかにした。
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