研究課題/領域番号 |
23530331
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
坂西 明子 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (00316085)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地域間人口移動 / 地域雇用 / 世帯属性 |
研究概要 |
本研究は日本の地域間人口移動の要因について、地域労働市場の格差とライフステージ要因の側面から考察を行う。地域間の労働市場の不均衡は、基本的に労働力の移動によって調整されるが、実際にはその多くが若年層によって行われている。日本の長期的な雇用システムや個人の移動費用を考慮した地域間人口移動の要因についての分析が重要となる。本研究では、1990年代以降のデータを用いて、地域間人口移動の要因について、これら2つの他に未婚率の上昇や非正規雇用の増加など社会経済的な変化も鑑みて考察する。地域雇用政策と地域単位での人口政策に対する政策的インプリケーションを検討する。 平成23年度には、生産年齢人口の地域間人口移動の要因に関して、地域労働市場の状態、世帯属性等の側面から考察を行った。2000年の国勢調査結果から1995年~2000年の移動に関するデータを用いた分析では、以下のことが示された。生産年齢人口の過去5年間の都道府県間移動率は、単身世帯に属する者については著しく高い。20-24歳については、都道府県間移動を行った者の過半数が単身世帯であり、それ以降の年齢層も親族世帯に属する者と比べて単身世帯の移動率は高く、未婚率上昇などの近年の傾向は社会全体としての移動率を変化させる要因になると考えられる。配偶者や子どもがいる場合と比べて、一般に移動の制約が少なくなるためである。このような近年の社会経済属性も考慮に入れて、考察を進めた。都道府県間移動については、就業地を変えない事の多い同一大都市圏間の近距離の移動と、就業地の変更を伴う遠距離への移動とに分けて分析を行った。地域労働市場の状況の改善によって、年齢別に人口移動の反応度は異なり、特に若年層の移動に影響を大きく及ぼすことが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度には、国勢調査報告の過去5年間の移動に関する調査が行われた2000年についてデータを収集し、移動者の配偶状態などの属性、移動理由、地域労働市場の状況を表す失業率や賃金などの変数を含めて移動要因についての実証分析を行った。査読付き論文として、研究成果の公表がされた。また、次年度の研究に向けて、文献収集などを行った。最新の2010年国勢調査結果を踏まえた検討や、雇用政策の現状や課題の調査については、次年度以降に取り組んでゆく。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、(1)国勢調査結果のオーダーメード集計表を用いた地域間人口移動の分析、(2)地方自治体への雇用政策の聞き取り調査、(3)文献と資料による調査、(4)統計ソフトと地図ソフトを用いた分析、(5)論文執筆、学会発表の5点を中心に研究を進める予定である。 資料やホームページ等による地方自治体の雇用政策を調べた結果をもとに、実際に訪問して雇用政策の詳細や課題などのヒアリングを行う自治体を抽出する。雇用政策に関わる聞き取り調査を進めて、ヒアリングの内容を資料としてまとめる。また委託による統計作成制度を利用して、公表されている国勢調査のデータでは捉えられなかった移動者の属性を取り入れた集計表を作成し、それを利用した分析を行う。平成24年度には、上記の4点から考察を行い、成果を学会発表と学術誌への公表をするように研究を進める。さらに、近年の震災による人口移動への影響についても考察を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、研究に必要な洋書を含めた書籍の購入の費用や統計ソフト、消耗品等の物品費を使用する予定である。そして、研究の2年目には、地方自治体等に聞き取り調査に出向く予定である。ヒアリングや資料収集、研究の最新動向の調査のために、旅費を使用する。さらに、国勢調査報告について、オーダーメード集計を依頼するための経費を必要とする。そして、平成24年度にも、研究発表に用いる英語論文の校閲費用や、学会等で成果の発表を行うための旅費を使用する計画である。
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