研究課題/領域番号 |
23530337
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
川崎 一泰 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (40338752)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生産性 / 生産要素の移動 |
研究概要 |
2011年度は、地域間の生産性の差に着目した実証分析を中心に行った。この分析では、地域間の生産性に差が未だに存在しているにも関わらず、なぜ生産要素の移動が停滞しているのかを中心に実証的な分析を行った。その結果、地方への交付税や補助金を通じた財政再分配により生産性の差を相殺していることが明らかになった。この財政再分配は地方の人口流出を抑制する効果がある一方で、地域の生産性を向上させないため、地域経済の自立的発展を阻害する効果もあることを指摘した。なお、この分析結果については、日本財政学会の学会誌に投稿し、査読付論文として掲載された(「財政を通じた地域間再分配と生産要素の移動」(財政研究第7巻、107-122))。また、英文化の作業も同時に進め、10月に韓国にて開催されたSeoul Association of Public Administration、及び3月に米国で開催されたPublic choice societies second world congressにて報告をし、ディスカッションをしてきたところである(英文タイトル"The interregional distribution through fiscal policy and the movement of production factors in Japan")。この他、東日本大震災を受けたサプライチェーンの断絶が地域経済に与えた影響などを分析し、徳井丞次他「東日本大震災の経済的影響~過去の震災の比較、サプライチェーンの寸断効果、電力供給制約の影響~」RIETI Policy Discussion Paper Series 12-P-004にまとめられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度は、国内学会では論文として発表することができた。また、英文化の作業を行い、国際学会での報告も実施することができた。この意味で、2011年度は当初計画していた作業と成果報告を概ね達成できたものと考えている。しかしながら、当初計画していた中で、生産関数のアップデートの部分が若干遅れている。これは統計データの改編等により、基礎データの連続性が確保できなくなってしまったことに起因するところが大きい。ただ、この点については、連続性を保てるデータに切り替え作業をするなどをして、アップデート作業を進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、引き続き国際学会等での報告を実施していきたいと考えている。また、都市開発をめぐる開発利益を利用した資金調達の手法としてTIF(Tax Incremental Financing)の日本での適用可能性をさぐるべく分析を進めてゆきたいと考えている。具体的には、首都圏を中心に新駅開発により周辺地区の地価の動向と固定資産税収の動向を分析しつつ、開発利益を地域に還流する方策の適用可能性を探ってゆく。現在は、データ収集が概ね終わり、分析作業に入るところである。 さらに、コンパクト・シティをめぐる実証分析を行うためのデータ収集と現地調査を実施する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度は上記のような研究を計画しているので、一つには国際学会での報告と現地調査の費用を計画している。同様に国内学会での報告と調査のための費用も計画している。このほか、データ収集や図書費などの費用を計画している。
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