研究課題/領域番号 |
23530339
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小沢 和浩 法政大学, 経済学部, 教授 (90233519)
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研究分担者 |
新村 隆英 法政大学, 経済学部, 講師 (20598792)
坂本 憲昭 法政大学, 経済学部, 教授 (70386324)
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キーワード | 電気自動車 / 充電スタンド / シナリオ分析 |
研究概要 |
昨年度実施した現在神奈川県や横浜市など電気自動車の普及を推進している自治体などの調査結果から、プラグイン電気自動車の購入や電気充電スタンドの設置に対する公的な助成金の効率的な策定方法について検討を行った。昨年度検討した「公的投資戦略のための評価モデル」から、充電スタンドのインフラモデルとプラグイン電気自動車の普及モデルを策定し、プラグイン電気自動車の普及に応じた助成金の配分についてシミュレーションを行っている(1)。電気自動車の開発状況や市場の動向などに関しては、学会参加や企業展示会などを中心に情報収集を行っている。さらに、北米の状況に関しては昨年度に引き続き新村が視察を行っている。調査過程の中で電気自動車普及の重要な要素である電気充電スタンドの採算性の問題を検討した結果、既存のガソリンスタンドが充電スタンドに移行してゆくことはほぼ不可能という状況が明らかになった。これらの充電設備設置の場所の代替案として、車を止めて長時間滞在する場所、特に各家庭での充電設備の設置はスマートハウスの一部としての電気自動車も重要な要素であることが明らかになった。このように電気自動車の充電設備設置場所での電力供給源となる太陽光発電の効率利用に関しても議論した。さらに、充電設備の設置可能な場所を具体化し、現時点での実際の普及状況を考慮し、実際の自動車需要などを基本とした電気自動車普及のシナリオ分析を試みるための基礎的なデータ収集も行った。 <参考文献> (1) 坂本憲昭、新村隆英、高森寛、小沢和浩、プラグイン電気自動車のインフラモデルにおける助成金のスライディングモード制御、電気学会、産業応用部門大会、千葉工業大学、4-21, IV157-160, (2012)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に関しての達成度は以下である。 1. 「市場調査の対象を欧州(EU)地域に拡大し,データを収集する。現地政策担当者・研究者と意見交換をおこなう。収集した情報をさらにモデルに反映する。」に関しては、欧州市場の状況よりも北米や日本の方が電気自動車の普及に関しては進展が図られている現状から、当初予定のような調査対象の拡大は行っていない。さらに、東日本大震災以降神奈川県をはじめとして国内の自治体が積極的な電気自動車やスマートシティの普及についての助成金や充電設備などへの公共投資を行っているため、国内動向の把握がむしろ重要である。国内動向や北米に関する情報収集は当初目標を十分達成している。 2. 「学会論文により,ここまで得られた知見を中間報告として発表する。」に関しては、国内外の学会に参加し発表を行っている。その成果は研究発表(平成24年度の研究成果)に挙げている。
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今後の研究の推進方策 |
電気自動車の開発状況や市場の動向などに関しては、学会参加や企業展示会を中心に情報収集を継続して行ってゆく。本年度も、現状のモデルの不備な点や、充電設備設置の課題などさらに議論を深めたい。また、前年度より研究の比重が増した、各家庭での充電設備の設置やスマートハウスの一部として位置付けられた電気自動車の普及に関しても考察を行い、その普及のシナリオ分析を行う。さらに、電気自動車の普及を推進している自治体などの調査を、神奈川県や横浜市などを中心に継続的に情報収集を行ってゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降の研究費は以下の項目に支出予定である。1.PC関連品への支出。モデルの構築やモデルパラメータの決定などさらには、政策決定の数値シミュレーションなどをおこなうためのPCおよびPC周辺機器を必要とする。また、国内企業の調査にも携帯するためモバイルPCも必要とする。2.海外旅費および国内旅費。これは、海外・国内の自治体や企業からの情報収集を行うために必要である。3.書籍、消耗品など。これは、国内企業調査、およびデータ分析を行うための参考図書、およびPC周辺機器などが必要である。4.研究会開催関連費、謝金、学会出張費。これは、本研究で得られた成果を公開、議論、討論するための予算である。また情報収集のための学会参加費も含む。
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