研究課題/領域番号 |
23530341
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
山本 雄吾 名城大学, 経済学部, 教授 (20295158)
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研究分担者 |
森田 優己 桜花学園大学, 学芸学部, 教授 (50231642)
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キーワード | 交通政策 |
研究概要 |
本研究の目的は、わが国の道路旅客運送事業について、現行の政策(制度)と実態との齟齬から生じている諸問題を把握し、かかる諸問題の解消に資する今後の望ましい道路旅客運送政策を提示することである。 平成23年度は、既存文献のレビューおよび国内外バス事業者へのヒアリング等から、現行では市場の特性がまったく異なるにも関わらず同じ規制制度下にある域内バスと都市間バスを規制制度上区分し、それぞれに相応しい施策を実施すること、すなわち、①域内バスについては公的な調整の強化、②都市間バスには規制緩和による競争促進を図ることが望ましいという結論を得た。 平成24年度は、上記①②の結論を、現実にわが国で実施するための具体的方向や障害について検討した。このため、①「域内バスにおける公的な調整の強化」については、英国のQPS(地方交通当局とバス事業者の間の品質契約)の詳細を、既存文献のレビューおよび英国地方交通当局へのヒアリング等から把握した。また、「②都市間バスにおける規制緩和による競争促進」については、参入障壁となるバスターミナルの英国での運用方の詳細を、既存文献のレビューおよび英国バス事業者へのヒアリング等から把握した。 以上の研究から、平成24年度はとくに②について、バスターミナルへのイコール・アクセスの確保、すなわち新規参入者が既存事業者と同じ条件の下でバスターミナルへ乗入れられるようにすることが、都市間バスにおける競争促進にとって必要不可欠であり、そのためには行政によるルールづくり、コントロールが必要であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
英国でのヒアリング調査および文献レビューから、QPSの詳細およびバスターミナルの運用方について、これまでわが国では紹介されていない、そしてわが国の今後の制度改革を考える上で有用な新しい知見を得ることができた。 この研究成果は学会報告を予定している(平成25年6月7日、日本交通学会関西部会「英国の都市間バスにおける競争について~わが国の高速ツアーバス・高速乗合バス競争との比較~」)。またあわせて学術雑誌への投稿を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である平成25年度は、とくに「①域内バス:公的な調整の強化」について、QPSのわが国への適用方を検討する。このため、国土交通省自動車局や地方自治体、バス事業者へのヒアリングを予定している。この研究成果は学術雑誌に投稿の予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主たる研究経費は、国内のバス事業者および行政機関へのヒアリング調査費である。このため、国内旅費として、研究代表者、研究分担者および研究協力者の計3名分、3日程度の旅費・宿泊費等を計上した。 平成24年度配分額中167千円が平成25年度使用額となっているが、これは主として円高のため平成24年度の海外調査にかかわる旅費等が当初見積もりより圧縮されたためである。これは、平成25年度の国内調査の充実のために使用する予定である。
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