既存の理論モデルで無視されていた「先延ばしにする」という選択肢を考慮し、経済的理由による自殺の意思決定をモデル化した。またモデルの数値シミュレーションで、将来所得の変動リスク増大に応じて、若い世代でも老いた世代でも自殺を思い止まらせるのに必要な最低所得水準が上昇する一方、その上昇ペースは若い世代の方が急であることを示した。さらに自殺の防止という観点から、失業者に定額の給付金を与える政策と失業前の所得に比例した給付金を与えるという二つの政策を比較して、定額給付金の方が望ましい結果になることを示した。
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