研究課題/領域番号 |
23530348
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
塩谷 雅弘 大阪国際大学, ビジネス学部, 准教授 (70340867)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アジア新興市場 / 金融仲介の変化 / 資産価格 / 景気循環 / 金融循環 / 同調性 |
研究概要 |
本研究の目的は次の3つである。第1に、アジア諸国間で資産価格の循環的変動がどの程度同調・連動しているかを明らかにすること。第2に、アジア諸国における金融仲介の変化の特徴とその要因を明らかにすること。そして、第3に、アジア諸国間における景気循環の同調性の傾向を明らかにし、金融仲介の変化と関連付けて、同調性の特徴を検討することである。 本研究の初年度に当たる平成23年度は、以下のことを行った。第1に、アジア諸国における金融仲介の変化の特徴を、金融統計データをもとに調査した。概ねアジア地域の各国の金融仲介機関は、2000年代に入り、企業向け貸出から個人向貸出へ、その貸出先を変化させていることが確認できた。ただ、その変化の程度は各国間でばらつきかあることも確認した。この研究成果の一部は塩谷(2011)にまとめた。第2に、アジア諸国における金融変数と実物経済変数の循環的変動を抽出した。特に注目した金融変数は、資産価格として株価と不動産価格、そして銀行の貸出額である。また、実物経済変数としてはGDPである。これらのデータをもとに、実物経済変数GDPの循環的変動(景気循環)および金融変数の循環的変動(金融循環)の特徴を調査するとともに、各国ごとに、景気循環と金融循環との同調性を調査した。金融を介した各国間の景気循環の同調性を検証する上で、まず各国ごとに景気循環と金融循環の同調性を確認しておくことは有益であると考えた。銀行の家計向け貸出が多い地域ほど、景気循環と金融循環の同調性が高いことを確認した。この研究成果の一部はEnya(2012)にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた取り組みは、概ね行うことができた。具体的には、以下の3点である。第1は、アジア諸国における金融変数の循環的変動(金融循環)および景気循環の特定であり、これについては終えつつある。今後は、両循環の特定化のためのより適した手法をも考慮して完成度を高める。第2は、アジア諸国間の循環の同調性についてであり、これについては、各国ごとに景気循環と金融循環の同調性を調査し、それら複数国の結果を比較検討することで、各国間の相違点や共通点を探った。これらは、先述した本研究の目的1を達成する上で、大変有益なものとなった。今後は、関連する研究会等でコメントを得て、研究の完成度を一層高めることに努める。そして、第3は、先述した本研究の目的2を達成するための統計データの整備である。これについては、今年度は個別銀行財務データベースの利用契約を業者と結び、現在、データの整備を進めている最中である。データ整備に若干の遅れがあるが、次年度は当初の予定通りデータ整備を終え、分析に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って、今後の研究を行う予定である。これまで整備したデータをもとに分析を行い、研究成果の完成度を高めるための関連研究会での報告を積極的に行う予定である。特に、平成24年度に予定している取り組みは、アジア諸国における金融仲介の変化についてその特徴を調査・分析すること(先述した本研究の目的2)である。個別銀行の財務データを用いて金融仲介の変化の特徴を探る予定であるが、現在、データベースの記載事項が各国間で大きく異なっていることが分かっている。国家横断的なパネルデータでの分析は困難が予想されるが、できるだけパネルデータでの分析を行うよう務め、どうしても困難な場合は、各国ごとに行う、または特徴的な国を選出して分析を行うなどの対応を講じたい。また、アジア諸国間の景気循環の同調性(先述の目的1)についても、関連研究会などで報告しコメントを受けて、完成度を高めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、50万円の支出を予定している。物品費として関連図書の購入や消耗文具品の購入を、旅費として国内外の学会報告および調査のための旅費を、そして、謝金として英文論文執筆のための英文校正代や学術雑誌投稿代を支出する予定である。
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