本研究は、「複数居住」が多自然居住地域の人口減少対策として有効であると認識し、地方圏内における大規模成立及び継続の可能性について検討するものである。そこで、複数居住を人々の「新たな居住スタイル」として位置づけ、これにより「地方圏における限られたマンパワーの相互融通」を実現させるためには、可能な範囲でどのような条件整備が望ましいのかを、都市住民に対する促進策、多自然居住地域についての受け入れ策のそれぞれの観点より明らかにすることを目的とする。そして、地方圏における複数居住の円滑な実現には何が必要であるのかという情報を整理して提供できることが本研究の成果となる。 この課題を達成するために、以下の7つのテーマについて、逐次研究を実施した。①実践を希望する地方圏の都市住民のうち、どのような層が実践を継続できるのか、②複数居住を人口維持・確保策に導入した地方自治体等の現況や意識構造、③複数居住先として、選定されやすい地域や住宅の理由、④従たる住宅について、その取得及び処分の容易性の確保、⑤複数居住の継続について、「集落支援員制度」のようなソフト的支援施策の必要性、⑥複数居住の実践者と地域住民との交流の促進策、⑦複数居住の大規模実践による社会・環境問題発生の可能性 なお、それぞれのテーマについて、知見の導出には、ヒアリング調査、アンケート調査の手法を主として活用する。平成26年度においては、平成25年度に引き続き、上記について、ヒアリング調査を可能な限り多く行うこととともに、主として①、②、④、⑥、⑦に関連したアンケートを「大阪ふるさと暮らし情報センター」との協働調査として実施し、知見の蓄積を図った。
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