研究課題/領域番号 |
23530353
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
朴 哲洙 熊本学園大学, 経済学部, 教授 (80238245)
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キーワード | 金融不安定 / システムリスク / 金融規制監督政策体系 / プルーデンス政策 / 企業貯蓄 / Default Risk / Monetary Policy / Net Worth |
研究概要 |
最近グロバールな金融危機の経験から強調されている システムリスク分析が本研究の目的である。その一環として、まず、マクロ健全性も含むマクロプルーデンス政策体系を再定義と関わる理論的側面を中心に研究を展開した。また、 精細な分析をするフレームワークとして用いる単純かつ利用しやすい理論モデルを構築して、経済主体のインセンチブを明示的に取り入れた経済環境から政策を論じる基礎や土台を作った。システムリスクに直面した広い意味の金融仲介機関の行動メカニズムと金融不安との関係を分析した。本研究からの成果は、以下の2つの論文としてまとめた。 1.国際学会11th International Conference, the Japan Economic Policy Association(JEPA)で2012年10月 発表した後、学会での討論・指摘を反映し改正したものを査読付き国際学術雑誌に投稿した。研究成果として論文で構築した金融モデルはマクロ経済変数やその他の条件が相対的に良好でもかかわらず金融不安を示現する経済におけるファンダメンタルかつ構造的なメカニズムを説明する重要なヒントを与えることができることにその意義があると思われる。 2.金融資本の流れに着目しグローバル流動性が高まる環境での企業部門の金融行動について研究を進め、金融システムにおける非常に重要な位置を占めている企業貯蓄を分析した。まず理論的な定義とそのメカニズムを規定した後、日本の最近の資金の流れ(金融資金の過不足の状況)を新しい定義に基ついた企業貯蓄を観点から整理・分析した。特にマクロ経済レベルのバランスシートと各部門別のバランスシートを区別して、企業部門全体の金融行動をとらえることに、この2つ目の研究成果の意義があると思われる。その研究成果は経済論集に30ページの論文として掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マクロ健全性も含むマクロプルーデンス政策体系を再定義と関わる理論的側面を中心に研究を展開した。2つの論文の形として研究成果をまとめたが、海外での経済学ワークショップに参加したものの、予定した事例調査など政策関連を調査 実施 が充分ではなかったと思われる。 具体的には、金融監督・健全性(プルーデンス)政策・制度などに関する限界や改善などと関連した国際比較(韓国・中国の金融政策・監督体制金融経済など)関連の調査に多くの時間を与えることが足りなかった 。 システムリスク・金融不安への政策対応に関連して日本、韓国、そして中国など東アジアを中心として政策変遷、制度変遷、規制監督における変化にかかわる資料や事例を収集する必要がある。その資料をベースに政策体系と対策に関する精細な分析をすることが本研究の実用性・応用性を向上に役に立つ。これらのデータの分析結果をまとめ表や図を中心とした成果は、今回の成果と補完的であるので本研究の全体の研究目的を達成するのに有益である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、金融不安とシステムリスクを金融パラダイムの再構築という研究課題と関連して研究目標を再点検しながらパラダイム再構築の必要性も検討する。公正性と安定性よりも効率性を重視した既存の金融パラダイムは、大きな多次元での格差を生み「相争する福祉」構図を深化した傾向があり、公正性と安定性の制約条件下で効率性を追求する金融パラダイムを構築(相生する福祉)する必要がある。しかし、いまのところ従来の自由競争の市場原理を代替する理論が存在しない状態であることを意識しながら今後の研究を推進する。 まず今までの研究内容を点検・再整理する。バランスシートを通じた金融仲介機関間直接的な連係性を評価する方法を中心に先行研究を中心に限界や改善など論点に制度デザインの比較という側面からを国際・歴史的な観点を強調して再整理。情報や期待変数に着目しながら金融不安指数を設定し、関連資料収集や政策当局への調査から得た情報から構築した基礎データベースに基づいて金融システムの健全性の度合いを規定する共通要因を究明する。 特に本来の研究計画の中心である国際制度比較を通じて、システムリスクと金融不安指数の測定により金融政策健全性など監督仕組みの多様性を究明し、共通の要因(経済的長期的要因)と固有要因(政治的要因・慣例など)を区別し分析・解釈に研究を集中する。 特に日中韓の比較を通じて金融不安や危機の要因を特化し、その結果をまとめて海外学会に発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の計画書に基づいて研究費を使用する。物品費(500,000円程度)として図書、データ、デジタール情報、パソコンやノートなど購入し分析に生かす。また調査のための準備物など購入する。国際調査を実施するために海外現地を訪問調査やヒアリングを行こと、国内外の学会やシンポジウムに参加する予定である(旅費など約850,000円)。研究協力者やアルバイトなどえの謝礼にも支出(人件費 200,000円程度)。印刷や製本またはHPなどSNAの構築と使用に関する支出(200,000円程度)
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