研究課題/領域番号 |
23530354
|
研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
坂上 智哉 熊本学園大学, 経済学部, 教授 (50258646)
|
研究分担者 |
加藤 康彦 熊本学園大学, 経済学部, 准教授 (80331073)
川崎 晃央 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (10452723)
|
キーワード | 航空ネットワーク / ネットワーク形成ゲーム理論 / 産業組織分析 / LCC / 進化計算 |
研究概要 |
ネットワーク形成ゲーム理論班(A班)では,前年度に完成させた航空ネットワークモデル(Jackson and Wolinskyのconnections modelに準拠)の,費用関数に関する改善を試みた.具体的には,乗継便の利用客に関する運航費用を新たにモデルに組み入れた. 産業組織分析班(B班)では,まずLCCの参入路線に関する研究論文を完成させた.その結果,LCCの参入路線は,大手航空会社の運航費用より大幅に費用削減が出来れば,大手航空会社とは異なる路線に参入するが,そうでない場合は,大手航空会社と同一の路線に参入することが明らかになった.次に,近年,外国資本が投下された新規のLCC参入に注目し,外国資本が投下された航空市場に関する分析を行うためのモデル構築を行った. シミュレーション班(C班)では,アルゴリズムの改善についての研究を行い、“Society of Population Based Incremental Learners”の開発に成功した.これをネットワークの最適化に応用したところ,これまで提要していたアルゴリズムを上回る性能を示すことが確認できた.また,A班の費用関数の改善を踏まえて我が国の最適航空ネットワークに関するシミュレーションを実施した.その結果,羽田空港がハブ空港となる条件を明らかにした. A班とC班の研究成果は,まず,アメリカでの国際学会(WORLDCOMP'12) にて報告し,その日本語論文「航空ネットワーク最適化問題の進化計算によるシミュレーション分析」は電気学会論文誌へ投稿し,掲載された.この研究は同学会誌の編集委員会から高く評価され,WILEY社から発行されるElectronics and Communications in Japan誌において,英語版の論文が再掲されることに決定した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各班による研究の進捗状況は,基本的に当初の研究計画に沿うものであるが,なかでもネットワーク形成ゲーム理論班(A班)とシミュレーション班(C班)による,理論モデルのシミュレーション分析については,当初の計画以上の成果を得ている. A班と産業組織分析班(B班)との間での研究の統合や,B班のモデルのシミュレーション分析においては,当初の予定通り進んでいない部分はあるものの,全体的には昨年度の我々の研究の達成度は「おおむね順調に進展している」と言える.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は研究の完成年度であるため,研究成果を国内外の学会において精力的に発表する. 研究面では,外国資本が投下された航空市場の変容について,本格的なモデル分析を行っていくと同時に,マルチエージェントモデルの構築も試みる. さらに,LCCの新規参入や,国際線を組み込んだモデルについての理論とシミュレーション分析を行う.加えて,LCC参入を推進する政策を行った場合の,最適航空ネットワークや,社会厚生に与える影響を,理論とシミュレーションで明らかにする.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度については、国内と海外の学会報告のための出張旅費と,学会誌への投稿・掲載料の支払い,ならびに研究補助者への人件費への支出を計画している.
|