本研究では,台湾IT機器産業の事例研究を通じて,後発工業国企業によるイノベーションのメカニズムを分析した。台湾のパソコン企業によるネットブックの創出過程の分析や,携帯電話用コアチップ,液晶テレビ用コアチップ事業にみる事業モデルの革新過程のケーススタディを行い,いずれの事例でも,台湾企業によるイノベーションが,グローバルな産業内分業を構成する企業アクター間の相互作用のなかから生じたものであることを明らかにした。また,これらの企業によるイノベーションが,既存の産業内分業の秩序をゆるがす大きな市場インパクトを持つようになっていることを明らかにした。
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