研究課題/領域番号 |
23530367
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮越 龍義 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (60166139)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 世界金融危機 |
研究概要 |
研究の目的は、(i)理論的には金融市場を成長論に組み込んだモデルを発展させること、(ii)実証的にはPANIC(Panel Analysis of Nonstationary in Idiosyncretic and Common components)の手法を使って危機を解明すること、(iii)政策的には「メカニズムデザイン」の理論を使って危機に対する政策提言をすることである。今年度の研究目的は(i)であることから、まず、国際格付機関やIMF・ADB国際金融機関という国際公共財を取り込んだ静学モデルを構築した。1公共財モデルについては論文"A Practical Algorithm for Identifying Free Riders in International Public Goods: the Free Rider Problem and ODA methods"をSingapore Economic Association で2011年8月に、また、2公共財モデルについては論文"The equilibrium existence and uniqueness in international public two-good model "を北海道大学セミナで2012年2月に報告した。今後、静学モデルを動学に発展させて成長モデルにしなければならない課題が残された。他方、危機の理論モデルをより現実的に構築するために、現在進行中の世界金融危機の特質を把握すべく研究展望論文"A Survey on the Global Financial Crisis and the Japanese Economy"研究年報経済学(東北大学経済学会)を執筆した。そのほか、この研究から派生した論文を2本執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金融危機の静学モデルを構築したがいまだ成長モデルには至っていない点が不十分であり、次年度に成長モデルの構築が課題として残された。しかし、その反面、世界金融危機の研究展望を行ったので、次年度に残された課題を達成する大きな助けとなった。
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今後の研究の推進方策 |
目的(i)の成長理論の構築が不十分であったことから、次年度にはこの点を再度検討して予定通りの進捗度を回復する。その後は、(ii)Bai &Ng(2004, Econometrica)によるPANICの計量手法を使って、成長論的危機理論を実証し、さらに、(iii)「メカニズムデザイン」の観点から危機を救済するための政策提言をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に基本的な変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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