研究課題/領域番号 |
23530368
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
齊藤 愼 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (70093565)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 財政悪化 / 積立金 / 地方団体の「選好」 / 地域特性 |
研究概要 |
地方団体の財政状況が良好であり続けるか、あるいは悪い状態が続くかを決定する要因を数量的モデルの手法を活用して明らかにすることが最終的な狙いである。これまでになされてきた実証分析の多くが係数を一定と仮定しているため、個別団体ごとの財政運営の違いを明確に識別できていないと思われるためである。このため、本研究では、地方団体の財政運営に関する「選好」が異なるという仮説の下に、個別団体をグループ化する。その要因として、地域ごとの特性、地方団体の規模、過去からの財政運営の歴史、政治的要因等を想定している。もちろん、地域的条件や高齢化比率などの客観条件を考慮した上で、それでも財政状況に「選好」が影響するかどうかを解明する。 平成23年度においては、ヒアリングおよびケーススタディを研究の中心とし、その後の研究に必要なデータの整備を並行的に進めてきた。ヒアリングに関しては、財政状況が急激に悪化してきた大阪府および大阪市にヒアリングを行い、他団体と異なると思われる要因を一部抽出した。また、ケーススタディの対象は大阪府および大阪市に府内市町村を加えた。選定の理由の一つは、身近な地方団体であるため、多様な情報が得やすいことにあり、もう一つは市町村合併がほとんど行われていないため、「選好」が変わっていないと想定できるからである。今後サンプルを他地域にも拡充していく予定である。大阪府・大阪市以外の府内市町村の財政データは、大阪府庁のHPから得られるが、データが平成元年度以降に限られるため、それ以前のデータについても収集中である。また、各団体の沿革・職員数(職種別・退職者数等)・公共施設等のデータに関しては、『自治大阪』別冊「市町村ハンドブック」「データ集」から得られた。ただし、過年度のデータについては十分でないため、現在も収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
なぜある地方団体の財政状況が良好で、一方で、他の団体の財政状況がどの程度悪いかをケーススタディの手法を活用して明らかにする、ことを研究目的としたが、研究の進展がやや遅れている。研究の達成度がやや遅れている理由は、大別すると、以下の2点にあるが、研究期間内の完成を目指す。ミクロ経済学を基礎とする「選好」を現実的に特定化する際に、多くの要因が関連してくるため、どこまでの要因が不可欠なのかに関しては試行錯誤に頼らざるを得ないので、研究に時間がかかる。この部分が本研究の大きな特徴であり、これまでなされてきた他の研究との違いであるため、試行錯誤の過程が重要と考えられる。いくつかの特定の地方公共団体を対象としたヒアリング・ケーススタディを行ってきたが、近年の行財政運営に関する態度が大きく変化しつつあり、また今後の方向性が見通しにくく、モデル作成に繋がりにくい。場合によっては、これまでとかなり異なる「選好」を想定せざるを得ないかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に行ったヒアリングおよびケーススタディから得られた知見を元にして、実証分析を行うパイロット・モデルの作成を試みる。個別地方団体の財政状況推移を説明する際に用いられる説明変数として地方団体の「選好」を導入することが本研究の特徴であり、これまでの研究では試みられていない手法である。本年度の研究では、対象団体や対象期間を限定したパイロット・モデル構築を試みるが、明確な結論に至るためには、財政状況の良い地方団体と悪い地方団体の双方を比較する必要がある。また、地域環境条件や人口条件などの多様な外生的条件をコントロールする必要がある。このパイロット・モデルを推計するための最小限のデータの整備が本年度必要である。なお、ヒアリングおよびケーススタディもこれまで選定していない団体を対象として継続予定である。 一方で、最終年度のモデル完成に向けて、モデル構築と、最終的な推計に必要とされるデータの整備も並行して行う必要がある。必須の要因と想定されるデータに関しては、先行して入力していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、(1)ヒアリング・ケーススタディの継続、(2)パイロット・モデルの作成、(3)パイロット・モデル作成に必要なデータ入力、(4)最終年度のモデル完成に向けたデータ・ベースの整備、を行う。 このために必要な研究費は、以下の通りである。ヒアリング継続のために、旅費が必要である。平成24年度では関西圏以外の地方団体をヒアリング対象とするためである。またケーススタディの継続およびパイロット・モデル作成のため、大容量のデータを扱うことのできるパーソナルコンピュータを購入予定である。データ入力およびデータ・ベースの整備に関しては、膨大な資料の収集・整理のために、謝金等、およびその他経費が必要である。特に、大量のデータ収集とデータ入力を行うため、ほぼ10ヶ月間のデータ入力・整備を想定している。また、その他経費には、ソフト代金、研究資料購入、通信費を計上している。研究資料としては、現在保有していない地方財政関係の統計書購入予定であり、コンピュータ・ソフトとしては、本年度はデータ入力のためのOCRソフト等の購入を予定している。
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