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2011 年度 実施状況報告書

担保としての土地保有と借入制約に関する理論・実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530369
研究機関奈良教育大学

研究代表者

森 伸宏  奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (40190996)

研究分担者 岡村 誠  広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30177084)
友田 康信  神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30437280)
小倉 義明  立命館大学, 経営学部, 准教授 (70423043)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード有担保融資 / 無担保融資
研究概要

我々の研究は、借入をおこなう時に担保の必要性の有無が企業活動に与える影響を、理論(借入制約が企業の活動に与える影響に関する理論研究)と実証(企業の直面している借入制約と土地保有に関する実証研究)の両面から明らかにすることを目指している。そのために本年度は、需要に関するリスクに直面する経営者が、金利の低い有担保融資と金利の高い無担保融資のどちらを選ぶのかを調べるために理論モデルを使い、分析をおこなった。 具体的には以下のようなモデルを作成した。新製品を開発し、それを販売する独占企業を設立しようとする経営者を想定する。彼は新製品の市場規模についての不確実性に直面している。新製品は資本設備と労働を投入することにより生産される。彼が企業を設立するために必要な資金を調達するための手段は2つあり、一つは保有する資本設備を担保として出して低い金利で資金を調達する方法(有担保融資)と、もうひとつは担保を必要としないが、高い金利を支払うことにより資金を手に入れる方法(無担保融資)である。特に前者の方法では彼は保有する資本設備の量から借入制約に直面することになる。 このモデルを使った分析の結果、経営者がどちらの融資方法を選ぶのかを決める上で、産業の属性が大きな影響を持つことが明らかになった。特に市場規模が大きい場合には経営者は無担保融資を選択する一方、不確実性が大きい市場では有担保融資が選ばれることが分かった。企業がどちらの融資方法を選ぶかは、限界費用に影響を与え、その結果として経済厚生にも影響を与えることになるため重要な含意を持つ。本年度得られた結果については論文の形にまとめることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究はほぼ予定通りに進んでいる。我々の研究は企業が資金を調達する場合に担保を要求されるか否かが企業活動に与える影響を、理論(借入制約が企業の活動に与える影響に関する理論研究)と実証(企業の直面している借入制約と土地保有に関する実証研究)の両面から明らかにしようとするものである。本年度は理論分析を開始し、実証研究についてはデータを整え、本格的な分析を開始する準備を整えることを目指した。まず、借入制約が企業の活動に与える影響に関する理論研究では、どのような要因が企業の融資方法の選択に影響を与えるのかを分析し、その結果を予定通り一本目の論文にまとめることができた。一方、企業の直面している借入制約と土地保有に関する実証研究では、途中で分担研究者の異動が決まり、その手続きや準備のために、データセットの作成が若干遅れることになったが、間もなく完成し、実証分析を開始できる予定である。

今後の研究の推進方策

理論分析においては、まず本年度完成した論文をさまざまな研究会や学会で報告し、そこで得られたコメントなどをもとに論文の完成度を高め、学会誌への投稿を目指す。さらに、企業が借入制約のある有担保融資とそのような制約のない無担保融資のどちらを選ぶのかによって、その結果が経済厚生に与える影響について分析を進める。特に有担保融資を選んだ結果、借入制約がきつい場合には、均衡において産業における企業数が過剰になる可能性についても研究をおこなう予定である。 実証分析においては、本年度完成できなかったデータセットを完成し、それを使って予備的な実証分析を開始する予定である。特に借入制約の程度と担保になりうる土地や建物などの保有量の関係について明らかにすることを目指す。

次年度の研究費の使用計画

本年度の後半に分担研究者のひとりの異動が決まり、その準備や異動後に本格的に研究を始めた方が良いとの判断から、本年度の研究費の一部を次年度に繰り越すことにした。次年度は、本年度から繰り越した研究費を加えて、実証研究を進めるのに必要なデータセットを完成させるために、不足しているデータの購入およびデータの入力などに使用する。さらに、実証研究を進めるために必要なソフトや機器を購入するために使用する。 また、今年度、学会出張などの費用が当初想定していたよりも少なくてすんだことで節約できた研究費も加えて、次年度の研究費は、より多くのコメントなどを得て論文を改善するために、当初予定していた以外の学会や研究会でも報告するための旅費等に使用する。さらに、数値計算をおこなうために必要なソフトや機器を購入するために使用する。

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公開日: 2013-07-10  

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