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2013 年度 実施状況報告書

少子高齢化・人口減少社会における租税・社会保障制度の厚生分析

研究課題

研究課題/領域番号 23530370
研究機関岡山大学

研究代表者

岡本 章  岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (10294399)

研究分担者 乃村 能成  岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70274496)
キーワード少子高齢化 / 人口減少 / 子育て支援 / 消費税 / 年金制度 / 人口内生化モデル / 重複世代モデル / シミュレーション分析
研究概要

わが国では、少子化に伴い、今後も人口が急速に減少していくことが確実視されている。急速な人口の減少は、わが国の経済成長のみならず、今後の社会保障制度のあり方にも大きな影響を与える。その一方で、将来の人口動態は、少子化対策を実施することにより、ある程度変化させることが可能であると考えられる。例えば、フランスでは、長年にわたり手厚い少子化対策を行ってきたが、現在では、欧州諸国の中でもかなり出生率が高くなっている。
本研究課題では、人口減少・少子高齢化という構造変化を取り入れた分析を行うために、カリフォルニア大学バークレー校のAuerbach教授とボストン大学のKotlikoff教授によって開発された、ライフサイクル一般均衡モデルによるシミュレーション分析の手法を採用した。この分析手法を用いた先行研究において、そのほとんどが、政府機関による人口の将来推計のデータに基づいて、モデルにおいて将来の人口動態を外生的に設定していたが、本研究課題では、各家計が(生涯全体における効用最大化行動の結果として)最適な子供の数を選択できるようにモデルを拡張し、出生率が内生的に決定され、将来の人口動態が変化しうるシミュレーション・モデルの構築に成功した。
次年度は、このモデルを用いて様々な政策案の影響について定量分析を行う予定であるが、まず、子育て支援政策を実施する場合の財源調達法(労働所得税・資本所得税・消費税)の違いが、経済成長、家計の効用および将来の人口動態に与える影響について分析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各家計が子供の数を選択でき、その結果として、将来の人口動態が内生的に決まるモデルの開発に取り組んできたが、それを構築することができた。また、工学部の准教授の方に新たに研究分担者に加わっていただき、漸くそのプログラムを完成させることができた。このように、将来の人口動態が内生的に決まるモデルを使って、少子化対策および年金改革の影響などをシミュレーション分析できる準備が完全に整った。この結果、来年度は、研究成果の取りまとめ、および研究成果の発表を確実に行うことができるようになり、2014年度の日本経済学会春季大会で論文報告をすることが決まっている。

今後の研究の推進方策

まず、今後の推進方策について述べると、各家計が子供の数を選択でき、その結果として、将来の人口動態が内生的に決まるシミュレーション・モデルへの拡張を成し遂げることができたので、今後はそれを用いて分析を行い、その成果を発表し、著名な研究者の方々からアドバイスをいただきながら、より良いものに仕上げていく予定である。具体的には、子育て支援の財源調達法の違いが、経済成長、現在・将来世代の厚生、および将来の人口動態に与える影響を分析する予定である。
次に、次年度の研究費の使用計画について述べると、人口が内生的に決まるように拡張されたシミュレーション・モデルが既に完成しているので、早急に分析結果を取りまとめ、より良い論文にすべく、カリフォルニア大学バークレー校を訪問し、この分野の世界的第一人者であるAlan Auerbach教授とRonald Lee教授からコメントをいただく予定である。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題では、シミュレーション分析を行うためにプログラムの作成が必要不可欠である。しかしながら、本モデルでは、各家計が子供の数および消費・余暇の水準の3つの変数を選択でき、さらに2300年までの移行過程を取扱うことから、このプログラムは非常に複雑で、実際に作成できる人は極めて限られている。このため、当初は、経済学分野の研究者にお願いすることを考えていたが、計画を変更し、理系のスペシャリストの方(工学部の准教授)に昨年の10月から新たに研究分担者に加わっていただき、現在もプログラムの作成に従事していただいているため、未使用額が生じた。
工学部の准教授の方に作成していただいているプログラムの基本部分は今春に完成しており、2014年6月に同志社大学で開催される日本経済学会春季大会でその研究成果を報告することが決まっている。また、カリフォルニア大学バークレー校を訪問し、この研究成果について、Alan Auerbach教授およびRonald Lee教授とディスカッションを行い、アドバイスをいただく予定であり、未使用額はそれらの経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Welfare Analysis of Pension Reforms in an Ageing Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Okamoto
    • 雑誌名

      The Japanese Economic Review

      巻: 64 (4) ページ: 452-483

    • DOI

      10.1111/jere.12002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Simulating Public Pension Reforms in an Aging Japan: Welfare Analysis with LSRA Transfers2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Okamoto
    • 雑誌名

      Public Policy Review

      巻: 9 (4) ページ: 597-632

  • [雑誌論文] 少子高齢・人口減少社会における公的年金改革 ―LSRAによる所得移転を含む厚生分析―2013

    • 著者名/発表者名
      岡本 章
    • 雑誌名

      フィナンシャル・レビュー

      巻: 115号 ページ: 23-52

  • [学会発表] Pay-as-you-go Social Security and Child Allowances: Welfare Analysis Using a Lifecycle Growth Model with Endogenous Fertility2014

    • 著者名/発表者名
      Akira Okamoto
    • 学会等名
      日本経済学会2014年度春季大会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      20140614-20140615
  • [備考] 岡山大学経済学部:岡本 章ホームページ

    • URL

      http://www.e.okayama-u.ac.jp/~okamoto/okamoto.html

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公開日: 2015-05-28  

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