本研究の目的は、マネーサプライ統計の見直しにより、新しくなったマネーストック統計の遡及データを作成することである。日銀の公表しているマネーストックデータは2003年以降のデータのみであるが、この原因は郵便貯金についてのデータが整備されていないことである。そこで本研究では、郵便貯金データを種類別に整備し、マネーストック統計のM1、M2とM3データの1967年以降の遡及データを作成し、日銀が推奨しているデータ接続の方法の問題点を検討する。また、成果はホームページ上で公開する予定である。これによって、国内だけでなく、海外の研究者も日本の1967年以降のマネーストック統計を入手することができるようになる。 しかし、M1に関しては、接続方法は公表されていない。これは、郵便貯金に関するデータが利用可能な形で公表されていないからである。郵便貯金に関しては、日本郵政公社統計データの「年報郵便貯金編」において1989年から2006年までのデータがホームページ上で公表されている。しかし、ゆうちょ銀行はホームページ上でのデータとしてそれ以前のデータを接続する意思はない(Eメールでの問い合わせにより確認済み)。1989年以前のデータは旧郵政省の発行している報告書などから作成は可能である。ただし、これらの報告書は現在のゆうちょ銀行では公表可能な形では保管していない(逓信総合博物館「ていぱーく」の倉庫に保管され一般の閲覧は不可能である。また、整理し公開する予定はない)。これらは全国の大学図書館などで保有されている。 本年度は、郵便貯金のデータをさらに調査し、欠損データを埋めることができた。昨年度よりも郵便貯金データを整理することができ、統計分析をさらに進めることができた。
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