研究課題/領域番号 |
23530378
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
安藤 雅和 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (00462169)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 金融論 / 経済統計学 / 統計数学 / J-REIT |
研究概要 |
J-REIT投資法人がホームページ上で公開している所有物件の中で、データベース化に必要な情報を収集するとともに、テナントとして貸し出している取引先に関する情報など、不動産に関連する情報について集めた。それにより不動産のヘドニック価格関数の推定を試みるとともに、入居している企業の財務データ等をデータベースに追加することで、取引相手の信用リスクも考慮した価格評価モデルの構築を目指した。どのような指標が価格決定に影響を与えているのかを見極めることにより、市場の動向を把握することができた。さらに、公的機関における不動産データの主な入手可能な情報としては、国土交通省の「地価公示」、各都道府県の「地価調査」、国税庁の「相続税路線価」、各市町村の「固定資産税路線価」があり、民間企業においても、リクルート住宅総合研究所の「リクルート住宅価格指数」などがあるが、その多くがホームページ上で公開されており、大規模なデータ収集と有効な項目抽出について試みた。不動産証券化や不動産投資信託への関心は依然高く、不動産市場に透明性が求められるようになっている。土地の種類や取引内容、住所、取引価格などを見ることができるため、不動産の価格評価に有効なデータベースといえる。先のJ-REITデータにより解析した結果を踏まえて、大規模データでの価格評価関数の推定を進めるとともに、取引価格の構造変化をとらえるために状態空間モデルを適用した分析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの構築は徐々に進行しており、その都度解析を行うことで、より現状に根差した分析結果が出ていることと、その成果の一部を学会誌にて掲載できたため。ただし、ここで実施した分析法による成果については今後学会誌に投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大規模不動産データベースの構築について、インターネット上で公開されている情報や官庁統計データから入手可能な情報を収集する。それにより、物件の所得情報から不動産市場の市場動向を探り、日本経済の景気動向をつかむことにもなりうる。そして、中小企業の資金調達のためのストラクチャーの整備にも生かしていけるような指標づくりに繋げる。また、不動産を担保資産として発行されるCMBSやRMBSなどの証券化商品について、信用リスクを内包する債権を多数集めることでリスク評価がしやすく、優先劣後構造などによってリスクの程度を分けることで投資家のニーズにあわせた組成が可能なことから取引が拡大した金融商品であるが、リーマンショックでも問題視された通り、適切な格付けを行うことは難しく、信用リスク評価の重要性が高まっている。大規模な不動産データベースから格付け情報に寄与する項目を抽出し、商品の価格評価モデルを推定することを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
データベースの構築に伴い、保存環境の整備のために、外付けハードディスクを購入し、処理速度を高めるためにメモリの増設を予定している。さらに、分析法を適用するに当たっての先行研究や情報収集のための予算を予定している。そして、研究打ち合わせ、および、成果発表のための旅費を想定している。
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