研究課題/領域番号 |
23530379
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
堀場 勇夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (70173648)
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研究分担者 |
望月 正光 関東学院大学, 経済学部, 教授 (40190962)
宮原 勝一 青山学院大学, 経済学部, 教授 (40301585)
舟島 義人 青山学院大学, 経済学部, 助教 (30635769)
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キーワード | 地方消費税 / パネルデータ分析 / 政府部門の非課税扱い / 地方消費税の精算方式 / 時変パラメータモデル / 地方税の安定性 / 地方税の普遍性 / 地方財政と景気対策 |
研究概要 |
第1の研究テーマ「地方付加価値税に関する政府部門の扱いに関する理論研究」については、望月「オールドVAT,ニューVAT:付加価値税理論の新潮流」『地方財政』(2012.8)、「付加価値税の新潮流-オールドVATからニューVATへ-」経済系(2013.1)にて、政府部門に関する新しい考え方について考察した。また、VAT全体に関しては持田、堀場、望月 The Economics of Sub-National VAT, The Yuhikaku Publishing Co.,Ltd (2012.11)で論じている。 第2の研究テーマに関しては、地方消費税を含めた地方税全体に関する安定性の問題について考察し、舟島、堀場、宮原「地方税の安定性に関する一考察-時変パラメータモデルを用いて-」『青山経済論集』(2013.3)、堀場、宮原、舟島「地方税の変動と偏在性-1990年代以降の地方税収について-」で、地方消費税は極めて安定的な租税であることが論じられている。 また、地方消費税あるいは消費税の導入にとって、現在重要な問題となっている我が国の景気対策に関しての研究として、特に地方財政と景気対策の問題を中心として、Funashima (2012c) “Regional Income Redistribution and Its Risk-Sharing Effects under Uncertainty: The Case of Japan's Spotty Prosperity” 『青山経済論集』(2012.9)、 Funashima “Is Public Investment Counter-cyclical? Evidence from Japan” 『公共選択』(2012.10)等で分析がなされ、地方財政に関しては必ずしも景気政策が適切にとられてこなかったことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度には、国際財政学会への参加、国内研究会への参加等を通じて、積極的に情報収集を行ってきた。その結果、地方消費税の政府部門の扱いに関する理論分析に関しては、望月が中心となってニュージーランドでの研究をサーベイし、上記の論文として結実している。また、以前の研究成果である地方消費税の経済効果については、我が国にマクロ税収配分方式を導入したときの精算配分額と現行精算方式との比較を英文とした。また、喫緊の消費税の導入と地方消費税の導入を踏まえ、地方消費税を含む地方税の安定性と普遍性を中心として実証分析を行った。その結果から、地方消費税は安定性と普遍性に優れ、地方の基幹税としてふさわしいことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度には、安定性と普遍性の視点からも地方消費税はふさわしいことが判明した。それを踏まえ、税率が上がった際には重要な問題となるであろう、精算問題についてより深く分析を進めることは意味があると思われる。特に、付加価値税の政府部門に関する理論的研究については、今後とも研究の発展を進める必要が大きく、可能であればその他の公共部門についての研究も必要と思われる。 また、地方消費税の経済効果については、今後導入が検討されていることを考慮すると、他の地方税との比較も含め安定性や普遍性のより詳細な分析が必要となる。特に、地方段階の法人課税をも含めた地方税の安定性、普遍性に関する実証研究を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の最終年度にあたる次年度については、国内外で行われる研究会での情報収集を行う予定である。そのための、旅費が必要となる。また、政府部門に関する研究のための書籍、安定性、普遍性の実証研究のための機器、ソフト、データのための支出が予定される。
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