研究課題/領域番号 |
23530381
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
平賀 一希 慶應義塾大学, 経済学部, 助教 (40528923)
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研究分担者 |
江口 允崇 慶應義塾大学, 経済学部, 助教 (40600507)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国債研究者交流 |
研究概要 |
政府債務の持続可能性について、近年のマクロ経済学において用いられている同ガキ的一般均衡モデルを用いて検証を行う。それにより、どのような政府債務残高、ないしは政府債務残高対GDP(国内総生産)比の水準が政府債務の持続可能性を維持できなくなるような閾値となるかについて、検証することを本研究の目的としている。 本年度においては、ファーストステップとして、政府債務の持続可能性に関する既存の理論・実証分析の発展系として、2本の論文を発表した。一本目は、動学的一般均衡の一種である世代重複モデルに財政安定化ルールを導入することで、定常状態に収束できる(つまり持続可能性が担保される)政府債務残高と資本ストック(GDP)との対応関係を、解析的かつ移相図を用いて分析した。2本目は、政府債務の持続可能性に関する実証研究の代表的な研究の手法(単位根検定によって政府債務がバブルであるかどうかを検証する手法と、前年度末の政府債務が増えると基礎的財政収支(プライマリーバランス)を改善するという財政安定化ルールが統計的有意に成り立つかを検証する手法)を接合し、それぞれの研究の問題点を改善し、より統計的かつ経済理論と整合的な推定方法を導き出した。 また、2012年1月にアメリカのシカゴで行われたアメリカ経済学会年次大会に参加し、動学的一般均衡モデルを用いて政府債務の持続可能性に関する最先端の研究発表を聞くことができ、今度の研究の指針を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はスタートの年として、先行研究の整理等のインプットの年にする予定であったが、2本論文が完成したこともあり、当初の予定より早い段階でアウトプットが出すことができたことが計画以上の進展度合であると判断できる理由である。また、1月のアメリカ経済学会に参加したことで、最先端の研究では何ができて何が今でも為されていないかの整理ができたことで、今度の研究の指針を多く見ることができたことも、今後の研究成果を出す速度を上げる要因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカ経済学会で得た研究動向を基に、わが国の政府債務の上限値(持続可能性が成り立ちうる政府債務残高の上限値)を、動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルを用いた(ベイズ統計学的)構造推定を行い、推定する。同時に、本年度に行った研究を海外の学会で報告し、より高いインパクトファクターを持つ海外雑誌に掲載することを目標に論文を投稿していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として、海外学会での研究報告並びに研究動向調査のための旅費として用いる。また、海外研究者との研究交流や意見交換のための研究会の費用や、論文投稿に際しての投稿料や英語論文の校正費として用いる。昨年度の予算に余りが出たのは、当初必要としていた大学院生を雇ってデータ収集・加工作業が今年度においては必要ではなくなったためである。その分、次年度において、今年度の分を含めてDSGEモデルの構造推定を行うのに必要なデータ収集・加工作業に集中して予算を配分する。
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