政府債務の持続可能性について、検証する理論・統計的実証分析の手法の開発・研究について、2011年度から2013年度の3年度を通じて行ってきた。代表者の平賀が行ってきた成果としては、2点挙げられる。1点目は、政府債務の広い意味での持続可能性の必要条件として、無限先将来の政府債務の現在価値がゼロになるかどうかという「Globally Ricardian」の状況がどこまで成立するかについて考えたものがある。この研究については、拙稿"A Note on the Weak Condition of “Globally” Ricardian"にまとめられ、Economics Bulletinに受理・掲載されることとなった。2点目は、新たな政府債務の持続可能性の検証方法として、政府債務残高が定常であるかについて景気循環要因等の外生変数を単位根検定の式に含めることで、モデルと整合的かつ検出力を高めるという、経済理論・統計の両面から改善を見込める手法を提示した。この研究については、拙稿"New Methods for Testing the Sustainability of the Government Debt"にまとめられ、現在は海外査読付き雑誌に投稿中である。 共同研究者の江口の成果としては、財政破綻や財政再建に付随して考えられる世代間格差の問題について、大阪大学の大竹文雄教授との対談を中央公論誌で行う等、主に社会的啓発活動が挙げられる。
|