研究概要 |
平成24年度は、前年度に続き、まず、マクロ経済の景気循環性をミクロの企業の信用力変化に与える影響を計量モデル化し、分析した。1つの成果として、マクロ経済変数そのものよりも、Hodrick-Prescottフィルターにより、当該変数を要素分解して得たトレンド項やサイクル項を変数として導入したモデルの方が、日本企業の信用力をより良く説明することを示した。なお、以下の論文投稿(アクセプト)ならびに学会発表を行った。 論文:Default Forecasting Considering Correlation Between Business and Credit Cycles, Journal of Applied Finance & Banking, vol.2, no.5, 2012, 275-305. 発表:Bachelier Finance Society World Congress(2012年6月、豪シドニー)、International Research Journal of Applied Finance Conference(2012年9月、米プロビデンス)、および、25th Australasian Finance and Banking Conference(2012年12月、豪シドニー) 次に、24年度に新たに取り組んだ課題として、信用ポートフォリオの主要なリスクパラメーターであるデフォルト確率にマクロ経済変数を変換する汎用的なモデル化手法の開発が挙げられる。この研究では、企業の財務変数のみで通常説明される信用格付(スコアリング)に関して、マクロ経済変数を(業種変数とともに)追加的に考慮することで、AR値で表されるデフォルト予測力の精度が向上することを示した。なお、わが国上場企業の財務変数とマクロ経済変数のパネルデータを使用し、多段階反応モデルを適用した。
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