研究課題/領域番号 |
23530386
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
望月 正光 関東学院大学, 経済学部, 教授 (40190962)
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研究分担者 |
栗林 隆 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30306401)
野村 容康 獨協大学, 経済学部, 教授 (90383207)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 二元的所得税 / 超過利潤税 / キャッシュフロー法人税 / ACE法人税 |
研究概要 |
本研究は、貯蓄-投資課税の効率性を維持しつつ、所得課税の財源調達機能の強化と再分配機能による公平性を実現可能とする二元的所得課税の新たな展開について、理論的側面と実証的側面から検討を行うことである。新たな二元的所得税は、個人段階の累進的勤労所得税とフラットな税率の資本所得課税に、法人段階での超過利潤型の法人税を組み合わせたものであり、グローバル経済のもとで急速に進展する資本移動性の高まる中で、効率性と公平性の調和を図る税制である。グローバル化の下で、今後国際競争力を維持しつつ、成長促進を図る点からも課税戦略として必須の税制として研究を進めている。 平成23年度は、二元的所得税の新たな展開について、理論的側面と実証的側面から基本的な研究を行った。1.伝統的な包括的所得税と税制改革の新潮流である二元的所得税の関係を吟味するとともに、新潮流の中で、伝統的な公平や効率概念はどのように位置づけられるのかを検証した。2.二元的所得税を成り立たせる理論的根拠について整理・検討し、そのうえで、課税の効率性を徹底して追求しているという点で、二元的所得税を実施しているといわれるEU諸国について研究を進めた。3.平成23年7月30日に「科学研究費助成研究報告会」を開催し、早稲田大学政治経済学術院の馬場義久教授から二元的所得税改革をめぐる論争について新たな潮流について示唆を受け、今後の方向性について討論を行った。 だが、平成23年度に実施予定であった二元的所得税導入国・計画国(ノルウェー・ドイツなど)への現地調査は、諸般の事情により実施することができなかったので、平成24年度に必ず実施することとした。この実地調査を行うことにより、超過利潤税を制度化する際に直面する問題の検討や税制改革後の実態についての検証を行い、平成23年度の理論的研究成果をさらに進化させることする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた二元的所得税の新たな進展について、理論的側面と実証面的側面に関する基本的な研究についてはほぼ検証作業を進めることができた。その成果をいくつかの研究成果として論文をまとめるとともに、招待講演等を通して成果を公表した。また、ベルギー等のEU諸国の税制改革の新潮流について、アメリカ・ミシガン大学で開催されたIIPF(国際財政学会)に参加することによって、各国での研究動向について知見を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
1.EU諸国における所得税と法人税との一体的な税制改革への流れに関する調査研究を引き続き進める。 2.同時に、二元的所得税導入国・計画国(ノルウェー・ドイツなど)への現地調査実を行うことにより、超過利潤税を制度化する際に直面する問題の検討や税制改革後の実態についての研究をさらに進展させることにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.伝統的な包括的所得税と税制改革の新潮流である二元的所得税の関係を新潮流の中で、伝統的な公平や効率概念はどのように位置づけられるのか、さらに研究をすすめる。 2.経済統合が進展する中で課税の効率性と公平性を徹底して追求しているという点で、二元的所得税を実施しているといわれるEU諸国について、理論と実証の面から研究をさらに深化させる。 3.平成23年度に実施予定であった二元的所得税導入国・計画国(ノルウェー・ドイツなど)への現地調査を実施する。この実地調査を行うことにより、超過利潤税を制度化する際に直面する問題の検討や税制改革後の実態についての検証を行う。
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