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2012 年度 実施状況報告書

中小企業金融の貸出手法と地域金融機関の組織形態の相違が地域経済に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 23530387
研究機関岐阜聖徳学園大学

研究代表者

加納 正二  岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 教授 (50319787)

キーワード地域金融
研究概要

地域金融機関における貸出戦略とソフト情報の観点から見たリレーションシップについて考察した。貸出戦略として、とくに住宅ローンに着目する。住宅ローンはトランザクション貸出のクレジット・スコアリングの貸出手法に準ずるものと考えられる。ソフト情報を吸収する先鋒となる渉外係や、正規職員の反対概念としての嘱託・臨時職員の比率に着目する。住宅ローン比率の上昇は、地域金融機関にとってソフト情報の吸収の必要性を下げ、渉外職員比率の減少の傾向が見られる。住宅ローン比率の増加で、嘱託・臨時職員の比率に影響を与える傾向は見受けられなかった。住宅ローン重視の地域銀行では、住宅ローン比率と嘱託・臨時職員比率には、負の関係の傾向が見られ、住宅ローン軽視の地域銀行では、住宅ローン比率と嘱託・臨時職員比率には正の関係の傾向が見られた。このことは、住宅ローン重視の地域銀行では、住宅ローンの担当を正規職員が行う、そのことの裏返しとして、嘱託・臨時職員比率が下がると考えられる。逆に、住宅ローン軽視の地域銀行では、住宅ローンの担当が、嘱託・臨時職員であるため、正の関係が見られると推測される。
ABLの導入により、金融機関はいやがおうでもモニタリング能力を高めざるを得ない必要性がでてきた。また、取引先の取引状況をモニタリングできるからという理由でABLを導入している金融機関もあり、相互に関連しあってABLの手法は発展してゆくと思われる。
貸出業について歴史的に考察すると、江戸時代の貸出は社会的身分に応じて、貸出業の市場が分断していたと思われる。また貸出手法に関しては、Relationship Lendingに加えてAsset Based Lendingの手法が存在したと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

地域金融機関の組織形態や戦略の違いによるソフト情報の取り扱いについて考察した。ここでは職員の構成、すなわち渉外人員、嘱託・臨時従業員、女性職員の割合に注目した。また、定期積金や住宅ローン重視の戦略に着目した。
さらに精緻な分析は今後の課題として必要ではあるが、職員の構成や金融機関の戦略、組織形態による違いがある程度発見できた。
ソフト情報重視のリレーションシップ貸出、クレジットスコアリングの一種である住宅ローン、ABLなど様々な貸出手法について考察し、貸出手法に関する歴史的な考察も行った。

今後の研究の推進方策

今後は地域金融機関の組織形態について新たな分類を試み、さらに地域性に着目し、ソフト情報、ハード情報両面に着目し、貸出手法についてもリレーションシップ貸出以外の手法や保証についての考察、貸出手法に関する歴史的考察も行う。

次年度の研究費の使用計画

学会出張、消耗品費、書籍購入等に充当予定。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 貸出業の比較経済分析2013

    • 著者名/発表者名
      加納正二
    • 雑誌名

      Review of Economics and Information Studies

      巻: Vol.13,No.3,4 ページ: 1-10

  • [雑誌論文] 地域金融における貸出戦略とリレーションシップ貸出2013

    • 著者名/発表者名
      加納正二
    • 雑誌名

      Review of Economics and Information Studies

      巻: Vol.13,No.3.4 ページ: 11-20

  • [雑誌論文] ABLとモニタリング2013

    • 著者名/発表者名
      加納正二
    • 雑誌名

      Review of Economics and Information Studies

      巻: 14 ページ: 近刊予定

  • [雑誌論文] 地域金融機関における人的資源とソフトインフォーメーション2012

    • 著者名/発表者名
      加納正二
    • 雑誌名

      Review of Economics and Information Studies

      巻: Vol.13,No.1.2 ページ: 65-74

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公開日: 2014-07-24  

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