研究課題
リレーションシップ変更要因の一つは、貸し手側である金融機関のパフォーマンスである。金融機関のパフォーマンスに着目し、代表的な指標としてROAを用い、金融機関のROAとリレーションシップの関係について考察する。仮想のシミュレーションとして、リレーションシップが実際には変更されているが、リレーションシップの変更が行われずに、リレーションシップが継続維持された場合の金融機関のROAについて考察する。ROAの平均値はリレーションシップが変更になった場合のほうが、リレーションシップが継続される場合よりも高いが、1990年と2000年のROAについて分析すると、リレーションシップが変更になった場合の相関は負になる。またリレーションシップの変更がなかったと仮定した場合の相関は正になる。個々の中小企業にとっては、リレーションシップ変更が必ずしも、ROAの高い金融機関への変更に結びついていないことが示唆される。高齢化、女性管理職、障がい者雇用等CSRの観点から地域金融機関の組織形態を考え、そのパフォーマンスを考察した。地域金融機関の店舗数の増減は総人口の増減、および高齢者人口の増減と正の相関がある、という仮説を検証した。地銀の場合は有意に正の相関が見られた。リレーションシップと高齢化との考察では、「高齢化率の高い地域の地域金融機関のリレーションシップ率は高い傾向にある」という仮説を検証した。女性管理職比率とそれぞれの地域金融機関のROAおよび貸出の伸びについて考察したが、いずれも有意な関係は見い出せなかった。また障がい者比率とそれぞれの地域金融機関のROAおよび貸出の伸びについて考察したところROAについては有意に正の相関が見られた。
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Review of Economics and Information Studies
巻: 14 ページ: 103,115
巻: 15 ページ: 近刊予定
巻: Vol.14,No.1.2 ページ: 61-66