本研究では、「我が国の税と社会保障制度が近年の格差問題に与える影響に関する実態分析」と「税や社会保障が国と地方の財政関係に与える影響に関する分析」の2テーマの分析が行われた。前者の分析では、日本の所得税制の再分配機能が所得控除による課税ベース侵食によって大きく弱められている実態が、他国の税制との比較分析を通じて明らかとなった。一方、後者の研究では、個人住民税の自治体間税収格差を生じさせている理由の一つが住民税の課税ベース侵食にあること、さらに近年の少子高齢化の進行で、とくに高齢化が激しく進む地方部の県で課税ベース侵食が進行していることが、明らかとなった。
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