研究課題/領域番号 |
23530394
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
小川 禎友 近畿大学, 経済学部, 教授 (30330228)
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研究分担者 |
堀井 亮 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90324855)
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キーワード | 最適課税 / 家族 / 成長 / 開放経済 |
研究概要 |
論文“Timing of Childbirth, Capital Accumulation, and Economic Welfare”においては、結婚行動の変化による晩婚化が出生タイミングを遅らせているという事実に基づき、出生の遅れが人口動態および経済厚生にどのような影響をもたらすかを考察した。従来の研究(新古典派成長理論)では、社会保障や外部性を考慮しない限り、人口減少は一人あたりの資本ストックを増加させ経済攻勢を改善すると考えられていたが、本論文では急激な晩婚化は経済に存在する人口の年齢構成に周期的なゆがみをもたらし、そのゆがみが非常に長期間(数世代以上)に渡り多数の主体の経済厚生を悪化させうることが分かった。 論文“Optimal Taxation in an Open economy”においては、開放経済における最適課税構造を分析し、補償需要の価格弾力性によって最適租税構造が特徴づけられることを明らかにした。国際価格を所与として受け入れる小国での最適物品税率の順位決定条件は、交易条件を操作する大国の下での税率順位決定条件と同じであることが分かった。 論文“家計内生産と漸進的租税改革”では、労働所得税と非均一に課されている物品税率の中で最も高い税率を引き下げたとき、最高税率が課されている財とその他の財が代替的で、余暇の消費を抑制するならば、厚生が改善することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の基礎となる理論研究を進めてきたが、それらの論文が国際的に評価の高い査読誌に掲載されており、進捗は順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
人口増加・減少と経済成長・経済厚生との関係を明らかにするため、 準備中の論文A Non-exponential Theory of Sustained Growthにおいては、経済成長率が長期的に生になる条件を理論的に再検討している。従来の研究(内生的経済成長理論)では、研究開発が非常に強い外部性を持つか、あるいは人口成長率が長期的にプラス(semi-endogenous theory, Jones 1995)でない限り、長期的に正のGDP成長率を実現できないとされている。しかし、上記準備中の研究では、それらの条件はCES型効用関数を前提としていることに起因しており、より一般的な効用関数では条件を緩くできることが明らかになった。その場合、人口成長と経済厚生の関係は大きく見直されることが予想され、現在研究を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用計画は以下のとおりである。前年度からの繰り越し分は、英語添削代として約100000円、打ち合わせのため(近畿大学―東北大学間)約150000円。平成25年度分は以下の通りである。研究会・学会等の報告・参加のため約200000円。書籍・雑誌購入のため約200000円。文具、トナー、パソコン関連消耗品に約300000円。人件費・謝礼金として約200000円。
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