平成28年度は、前半は平成27年度9月までのポーランドのポズナンおよびワルシャワで収集した資料に加えて、平成27年度(つまり平成28年)3月に行ったカトヴィツェで収集した資料の整理と論文の準備を継続した。ただし平成28年度は、勤務校での教務委員の仕事が重なり、さらに資料分析に予想外の時間がかかったため、ポーランドでの資料調査は、平成28度末の今年3月下旬にずれ込んだ。 また、資料整理の過程で、農業恐慌の影響を具体的に把握するために、都市に加えて周辺の郊外農村についての調査が必要であることが判明した。そのため、前述のように3月に本科研費で、さらにポーランド、ポズナン国立文書館で資料収集を行った。 この文書館で閲覧した基本的ファイルとしては、平成27年度7月までのポズナンにおける調査の継続であるポズナン商工会資料(Izba Przemyslowo-Handlowa w Poznaniu)に加えて、新たにポズナン国家警察・郡警察署(Komenda Powiatowa Policji Panstwowej w Poznaniu)を調査対象に加えた。後者は、ポズナン市の近郊のポズナン郡に属する中小都市の警察の捜査報告をまとめたファイルであり、小都市水準でのドイツ人とポーランド人の間の経済関係について多くの記録を含んでいる。 上記のように、出張予定の遅れのため、製パン業に関する論文については、残念ながら現在も脱稿できていない。しかし3月の調査における地方都市の分析を考察に加えた上で、農産物価格下落がもたらした衝撃についてもより詳細に補った上で、論文執筆を現在進めている。
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