本研究の課題は失業者を政府が直接雇用する失業救済事業の理念と実態を歴史的に解明することであるが、具体的には、1920年代~30年代の日本の事例を同時期の欧米諸国の事例、戦後の日本の事例と比較することを通じて課題に接近しようとしている。 本研究の結論は、当該政策の原理・原則は各国ともにほとんど同一であるが、就労機会を付与することによって救済すべき人々を申請者中から選別する手続きを含めて、事業運営の実際的状況は各国間で大きく異なっていること、その理由は失業問題をめぐる各国の社会経済的諸事情の相違に求められることである。
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