本研究では、明治日本における鉄道業発展の要因を、第一次グローバル化の影響という視点から再検討した。19-20世紀転換期の世界では、鉄道資材貿易をめぐる英米独メーカーと商社を担い手とするグローバルな競争が繰り広げられていた。日本の鉄道事業者は、こうした国際環境を活かしつつ、安価かつ良質な蒸気機関車を、短納期で獲得し、急速な拡張に成功する。それを支えたのが、高等教育機関で理論を学び、輸入車輌の徹底したリバース・エンジニアリングによって熟練技術を培った、日本人技術者たちであった。彼らは、第一次世界大戦直前には、機関車の自給体制を整え、外部からの資材供給に依存せずに鉄道の再生産が行えるようになった。
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