近年、米国では、市民が市民団体を通じて、貿易自由化反対の形で貿易政策への影響力を過去に例のない程強めているという新しい現象が起こっている。貿易自由化のさらなる進行は、食品安全のような社会政策の基準を低めることになるのではないかとの懸念を市民が持っていることが一因である。食品安全の場合、実質的には政府に代わり、企業の自主管理を重んじるシステム、HACCP(危害分析重要管理点)がグローバル・スタンダードとして重要になってきている。本研究は、アメリカ貿易政策史分析に、食品安全政策(HACCPに焦点)の新しい視点を取り入れ、近年の新現象がなぜ起こっているのかの検討を行った。
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