1.平成23-25年度の研究期間全体を通じて、ハーバード大学ベーカー図書館、ネブラスカ州、コネチカット州の州立図書館および歴史協会などで、19世紀から20世紀初頭にかけての個別州法銀行資料収集し、各年次においてその整理と分析を進めてきた。今年度はその整理作業のまとめとして、解題を付けて、本学機関リポジトリ―に登録・公開する作業に集中した。実施年度終了後ではあるが、平成26年6月中旬までに公開予定である。公開されるデータは、本研究を進めるうえでの基礎資料として使用されるだけでなく、米国初期銀行業および各州における州法銀行の経営実態に関する研究を深めるための実証資料を提供する目的を持ったものとなる。研究全体の実施計画からすると、当初の予定に比べて、資料が広範囲および膨大になったこともあり、資料全体を活用した新奇の問題提起を含む論文等の完成にほ至らなかった。 2.平成25年度夏季に実施した海外調査旅行(平成25年9月2日~23日)では、ネブラスカ州立歴史協会アーカイブス、コネチカット州立図書館アーカイブス、米国公文書館(カレッジ・パーク)を訪問した。収集した資料は1.で紹介したもののほかに、米国公文書館では、連邦準備制度の実施した1930年代の破綻銀行調査に関する資料の収集を行った。この海外調査の成果の一部は3.の研究論文として発表した。また、ネブラスカ大学オマハ校経営学部のキャサリン・コウ教授のもとを訪問し、ネブラスカ州における産業発展と初期銀行業に関する意見交換をし、「ネブラスカ州における発明と初期銀行業」と題して共同研究を進めることとなった。 3.研究発表としては、平成25年6月28日に地方金融史研究会で「南北戦争前米国における銀行の設立手続きをめぐって」と題する研究報告を、平成26年5月に刊行された『地方金融史研究』に「ネブラスカ州預金保証基金とその顛末(再論)」を発表した。
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