本研究は、1920年代から1970年代初めにおけるドイツの国土計画・地域計画の歴史を検討するものである。近年のドイツの研究では、この時期の国土計画は、秩序と規律によって支配されるフーコー的な<モデルネ>の典型的現象の一つとして論じられている。本研究では、国土計画をめぐる議論において現れた二つの方向、国の主導性を強調する「上から」の方向と、地方自治体の積極的参加の必要を強調する「下から」の方向との対抗に注目した。後者の動きはわれわれに、フーコー的<モデルネ>には吸収されきらない近代の別の可能性・潜在力、規律に支配され規律を生み出しつつも、まさにそのなかで自律を希求する人間の姿を示している。
|