本研究の目的は、日米の食品産業を中心に、企業によるモバイルITの活用実態を明らかにし、消費者との関係性構築における可能性を考察することである。新たな食品表示法の施行を控え、外食、中食における表示のあり方が検討課題となった点に着目し、H25年度は外食、中食での情報提供という視点から研究を行った。申請時にH24年度以降として計画した項目中、H25年度に実施したのは3.企業調査、4.消費者調査、5.企業と顧客とのコミュニケーション施策検討、6.成果発表である。 企業調査では、日米のファストフード実態調査から、食物アレルギー情報中心の日本に対し、栄養成分情報中心の米国という情報提供の重点の差異を明らかにした。 消費者調査では、一般消費者(9月)と食物アレルギー患者家族(2月)を対象に、外食、中食の①利用実態、②購入時に参考にする情報等を調査した。その結果、アレルギーの有無で外食、中食の利用傾向に大差はないこと、購買の際「価格」が一般消費者では圧倒的1位であるのに対し、アレルギー患者家族では3位であり、かつ「アレルギー表示」「原材料」等、複数項目を参考にすること、複数経路から情報を得ることで情報の確からしさを確認しているらしいことを明らかにした。 これら調査と施策検討の成果は、International Conference on Information Systems 2013のJPAIS/JASMIN International Meeting 2013や、米国ケネソー州立大学で開催されたYear of Japan Research Panel等で発表された他、論文2本は電子書籍の章として出版予定である。 なお、H25年度調査の一部は農林水産省加工食品製造流通指針策定事業による調査であり(小川は検討委員)、価値共創視点からの分析、考察および成果発表に関する費用に科研費を充当した。
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