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本年度は，提案手法の有効性と有用性の評価をさらに詳細化するため，平成25年3月に中国華師範大学MBA教育センターで行なわれたビジネスゲームの授業から得られた実験データを分析し，前年度の実験結果を補強した．分析は，提案手法の処置ありと処置なしの２回のビジネスゲームを通じて得られたビジネスシミュレーションプラットフォーム上の定量的客観データと，ゲーム後に受講者から収集した定性的主観データの２種類を用いて行なわれた．提案する代理データシュミレーション手法に対しては，What-if分析を通じた可能な世界における多様な視点からのビジネス構造理解をもたらす可能性は示唆されたものの，経営意思決定能力の向上を意図するビジネスゲームにおいては，むしろ意思決定支援ツールとしての意味が強く，必ずしも利用者に対する多様な学びをもたらさないという性質も明らかとなった．本研究によって，いかなる条件において代理データシミュレーション手法が，利用者への意思決定支援ではなく，利用者への多様な学び提供できるかという新たな研究上の問いが提示された．この視点については，デザイン科学的アプローチによって，大規模ビジネスシミュレーションプラットフォームの構築を通じた研究が求められる．本年度の後半では，それまでの研究成果をまとめ，国内外の研究発表大会を通じて，シミュレーションのシステム哲学的基礎，社会・経済・ビジネスのためのシミュレーション，および，社会シミュレーションのIS研究に対する方法論的意義などについて発表するとともに，学術雑誌を通じて，知識獲得に対するデータ代理手法とビジネス分析方法論に関する論文を公表した．
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