研究課題/領域番号 |
23530432
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
伊東 暁人 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (40242755)
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キーワード | オフショア開発 / ソフトウェア / 異文化理解 / プロジェクト管理 / 大連 |
研究概要 |
本年度は研究計画に従い、昨年度にひきつづき、ソフトウェアのオフショア開発における生産管理や経営管理に関する研究、ならびに経営管理における異文化問題についての先行研究等を収集・整理・分析し、さらに、オフショア開発従事者による研究会へ参加して情報交換、事例研究企業におけるヒアリング調査(第二次)などを実施した。加えて、日本におけるオフショア開発の現状を統計データなどをもとにして概観、その推移を整理した。 また、日本オフショアビジネス協会が主催するワークショップや国内の発注元企業・業界団体にヒアリングを行うとともに、比較的早くからオフショア開発拠点の立地が進んだ中国・大連地区において、オフショア開発を受託している企業側として日系のSW開発企業を対象としたヒアリング調査を実施、オフショア開発の現況について各種資料やデータを得ることができた。それらから、オフショア開発の成功要因として、TV会議システムの利用などによる綿密かつ頻繁なコミュニケーションの確立、ブリッジSEや管理担当SEの客先での上流工程への参画、仕様理解の齟齬を防ぐための組織的な仕組みづくり、などが明らかとなった。また、人件費の上昇により、一部では日本の地方都市における、いわゆる「ニアショア開発」との競争が激化しつつあることも分かった。(これらの成果の一部については、「中国・大連におけるソフトウェア・オフショア開発」『経済研究』(静岡大学)18巻1号にて公表される予定である。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、2年目にヴェトナム、フィリピン、韓国、台湾などでのヒアリング調査を計画していたが、スケジュール調整が不調だったことなど諸般の理由から、海外ヒアリング調査が中国(大連)のみとなってしまった。一方で、ヒアリングによって開発管理と異文化間に関する種々の資料やデータを得ることができた。また、ソフトウェアのオフショア開発における生産管理や経営管理、異文化理解に関する研究について収集・整理し、それぞれの特徴を明らかにするという点では、おおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度には、おもに、 1.前年度に引き続き、各種データや資料の収集を行ない、データの集計・各種分析と検定を行う。 2.前年度までに選定した企業や団体を対象として事例研究・ヒアリングを実施する。(25年度には、中国東北部に加え、前年度までに実施できなかったヴェトナム、タイ等を予定している。) 3.研究成果をとりまとめる。また、必要に応じて国内外の関係者・研究者にレビューをうけ、報告書をとりまとめる。 を遂行する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
・物品費:5万円(各種統計書、ソフトウェア工学・経営学関係書籍等) ・PC関連消耗品:5万円 ・ヒアリング調査旅費:60万円(国内:10万円、海外:53万円) ・人件費・謝金:15万円(研究補助・資料閲覧など) ・その他:5万円(複写費等)(上記には前年度使用残繰越約33万円を含む)
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